インタビュー実施日:2023/4/9(日)
江畑:はじめまして。学生スタッフの江畑尚音と申します。本日はよろしくお願いいたします。
高橋:2018年に法学部政治学科を卒業しました、高橋晃史郎と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
江畑:卒業後、現在はどのようなお仕事をされていますか?
高橋:現在は、博報堂という広告代理店で働いています。飲料メーカーをクライアントにDtoC(Direct to Customer)サービスのブランドマーケティングを行っています。
基本的に飲料メーカーは小売店を仲介して販売するのですが、DtoCは飲料メーカーが直接お客様に対してサービスや商品を販売します。顧客情報などをメーカーがインプットできるという特徴があり、これらのブランディングやマーケティングをマネジメントする仕事をしています。
江畑:現在のお仕事は、学生時代から志望されていたのですか?
高橋:学生時代も広告代理店には興味を持っていました。新卒では別の会社に入社したのですが、社会人になってから部活動の先輩方とお話ししているなかで働きたい思いが再度強まり、転職に至りました。
江畑:体育会バスケットボール部での経験が社会で生きていると感じることはありますか?
高橋:大きく2つあると思います。1つ目は人間関係の面、2つ目は能力の面です。
1つ目の人間関係の面で言うと、社会に出てから改めてバスケ部のOBは様々な業界や会社で働いていると感じています。
現職の広告代理店でも多くの先輩がいて、仕事の話などを聞いている中で学びがあったり、それが今の仕事に生きたりと、部活動を引退してからも助けをいただくことは多いです。
2つ目の能力の面で言うと、自分たちで率先して能動的に動く力はバスケ部で身につけたと思っています。
慶應のバスケ部は学生主体のチーム編成となっていて、監督・コーチの言うことをただ実行するだけでなく、自分たちに何ができるかを考えて、勝つためにPDCAサイクルを回して動くという特徴があると思います。
自ら目標設定をして、そこから逆算して、どのようにPDCAを回していくかという考え方は大学時代に学んだと思います。
江畑:1つ目の人間関係の面で、社会人になってからも人との繋がりは多いと感じますか?
高橋:それは他部活出身者よりも多いのかなと思います。卒業してから忘年会があったり、同じ業界の人と会ったりする機会も多いです。
一緒に戦ってきた先輩・同期・後輩と会う機会もあり、様々な業界を牽引している人からの学びはとても多いと感じています。
江畑:2つ目の能力の面では、どのようにPDCAを回す力を身につけましたか?
高橋:初めはもちろん難しかったです。ですが、自分たちが下級生の頃に先輩たちのやり方を見て学び、代を重ねる中で後輩からの刺激も受け、少しずつPDCAを回せるようになっていったと思います。
江畑:慶應バスケ部に入って良かったと思うことは何ですか?
高橋:まずは、かけがえのない仲間に出会えたことや、人脈が広がったことです。
そして、文武両道を自分のテーマとして置いて、バスケットボールに学生主体で一生懸命打ち込んだという過去と、同時に勉強も頑張ったという経験が今の糧になっていることです。
学生時代も慶應義塾に入学できて良かったと思っていましたが、卒業してからの方がその価値を感じる場面が多いです。もし人生をやり直すとしても、慶應義塾を目指したいと思います。
江畑:高橋さんは高校から大学に進学するにあたって、なぜ体育会を選ばれたのですか?
高橋:慶應義塾を目指すようになったきっかけは中学校1年生のときでした。月刊バスケットボールという雑誌に、慶應義塾大学がインカレで好成績を残したという記事を見て慶應義塾に憧れを持ちはじめました。
大学の体育会で活動することから逆算した時に、大学受験をするよりも一貫校の高校を受験する方が自分に合っていると思い、慶應義塾高等学校を受験しました。
江畑:他大学ではなく、慶應義塾大学を選択した理由は何ですか?
高橋:当時は他大学に行くことは全く考えていませんでした。
中学生のときは慶應義塾の歴史もあまり知らなかったのですが、福澤諭吉という先生がいて、素晴らしい伝統があるということは身内から聞いていて、どこか自分の中でピンときて素直に目指したいと思うようになりました。
江畑:高校と大学のバスケにおいて、何か違いは感じましたか?
高橋:大きく2つあるかなと思いました。1つ目はフィジカル、2つ目は戦術についてです。
1つ目のフィジカルについては、大学までバスケを続ける人が限られていて、1部リーグだと身長が2mを超える人もいる中で、フィジカル面の強化は高校と比べて何倍も努力しなければいけないと感じていました。
2つ目の戦術については、高校よりも高度だなと感じました。個々のテクニックではなく、チームとしてどう戦っていくかという考え方や、1試合を通じた戦い方は大学に入ってから考えるようになりました。基本的には学生主体で考えていました。
江畑:学生主体で行うことの魅力は何ですか?
高橋:中学や高校だと当たり前のように監督がいて、指示されるままに動くことが普通だと思います。
大学に入って学生主体で動く中で、中長期的にチームをどうしていくかという点を考えなければいけません。
ですが、全てを自分たちの中から答えを出すことは少なく、OBや先輩方からアドバイスをもらう中で自分たちに一番合っているものを、チームで話し合いながら一つの答えを出していくようにしていました。
それがベストの答えだったかは今も分かりませんが、自分たちが納得をして一つの解を出すというプロセスは大切だと思っています。
その解が勝利に結びつかないこともありましたが、チームとしても個人としても成長に繋がったと思います。
江畑:社会に出てから、学生主体の考え方が生きたエピソードは何かありますか?
高橋:社会に出ると、タスクを与えられて動くよりも、置かれた状況に対して自分は何ができるのかを考えることが必要になってきます。
自分の置かれた状況と、掲げる目標のギャップからどういったアクションを起こしていくかを考え、仕事がないところから仕事をつくることをしなければいけないのですが、学生時代に経験したシチュエーションと重なる部分が多いなと感じています。
江畑:部活動をする中で意識していたことはありますか?
高橋:チームへの発信という点において、自分のやっていることや想いを言語化することを意識していました。
3年生の頃から日記を書き始め、自分がチームに対して何ができるかを文字に起こすようにしてから、チームに対して堂々と発信できるようになったと感じました。
自分の言葉でアウトプットすることや、体系立てて理解することが大事だと思っています。
自分がやっていること、何のためにやっているか、その日の練習で周りを巻き込んでいたかどうかなど、他人の視座まで意識するようにしていました。
体育会生は努力することはもちろん得意ですが、それを言語化できる人は少ないので、やってよかったなと思います。
江畑:現役時代で最も印象に残っている試合はありますか?
高橋:明確に1つ、大学3年生の時の春の早慶戦が印象に残っています。
早慶戦から3ヶ月ほど前に行われる六大学リーグ戦では30点差くらいで負けてしまい、このままでは6月の早慶戦で絶対に勝てないと思いました。
そこからチームが一丸となり、本当に負けられないぞと思って、それぞれが何ができるかを真剣に考えました。
時にはお互いに厳しいことを言い合わなければいけない瞬間もありましたが、目標達成のためと全員が理解してブレることなく3ヶ月を過ごし、最終的には20点差で勝つことができました。
さっき話した、日記を書きはじめたのもこのタイミングからでした。
30点差で負けたところから、自分としてもチームとしても成長して勝利を収めたことは、自分の中のサクセスストーリーとしてとても印象に残っています。
江畑:大学生活を体育会で過ごすことの魅力は何ですか?
高橋:もちろん大学生活の過ごし方は人それぞれだと思いますが、何かひとつ大きな目標を持って過ごす方が良いと思っています。
それが部活なのか勉強なのかは人それぞれですが、その一つにバスケを置いて活動することは一人のOBとしておすすめしたいですし、その価値は大いにあると思います。
社会に出てからも、体育会出身の人が活躍している場面をたくさん見てきました。
インターンなどを通じて入社した学生は、もちろん優秀で入社直後から活躍することもありますが、体育会出身で心身ともに鍛えて、自分との向き合い方を知っている人の方が、考え方や成長度合いが非常に高いなと感じています。
自分に向き合わずして相手と向き合うことはできないので、体育会で過ごした時間は本当に貴重だと思います。
江畑:最後に入部を考えている学生に対してメッセージをお願いします。
高橋:大学の4年間は限られた時間で、非常に貴重だと思います。
入学するときは長くて様々なことができそうだと思うのが普通ですが、入ってみると一瞬で多くのことはできないなと思います。周りを見ていてもそう思うことが多かったです。
その中でまずは一つ大きな目標を掲げて、4年間邁進することは魅力的だし、現実的な過ごし方だと思います。
バスケ部で過ごすことが、みなさんにとってベストかはわからないですが、ベターな選択肢だと思います。
大学でも文武両道を掲げて過ごしたい方は、是非一度考えてみて欲しいと思います。
江畑:本日は貴重なお話をありがとうございました。
高橋:ありがとうございました。