中島杏奈さん(2007年卒 / 三菱UFJ銀行勤務)

写真提供:中島杏奈氏

−今回インタビュアーを務める文学部3年の中山璃音(CN:ウミ)です。よろしくお願いします!はじめに簡単な自己紹介をお願いします。

中島:2007年に慶應義塾大学経済学部を卒業した、中島杏奈です。現在は三菱UFJ銀行で主に上場企業のお客様向けの営業の仕事をしています。

中山:ありがとうございます。現在のお仕事は学生時代から志望されていたのですか?

中島:そうではないんです…元々は映画の世界観が好きで、就職先としては映画業界に興味を持っていました。その中で、就職活動の際に、慶應体育会の先輩で三菱UFJ銀行の方にお会いする機会があり、自分も経済学部だったこともあり、話を聞いてみようかなと思ったことがきっかけです。そういった意味では、大学時代は現在の仕事をしているとは一切思っていませんでした。

中山:そうなんですね。経済学部で学んだことで銀行業務で役に立っていることはありますか。

中島:そうですね、経済学は銀行員としてというよりも社会人として必要な基礎知識だったなと思います。また、もっと勉強しておけばよかったと思うのは、プログラミング等のデジタルスキルですね。

中山:なるほど、学生時代はどのようにして勉強と部活動を両立させていましたか。

中島:そもそもそんなに勉強が好きというわけではなかったです(笑)実家から日吉キャンパスまでの通学時間1時間半と遠く、家に帰ったら疲れて寝てしまうのでその通学の時間を勉強にあてていました。逆にそこしかしていませんが、メリハリができて結果タイムパフォーマンスもよかったです。

中山:経済学部で総代も受賞しているとのことで尊敬です。杏奈さんは慶應中等部・慶應女子高からの進学だと思いますが、大学では体育会以外にもバスケットボールをする環境はある中でどうして体育会を選んだのですか?

中島:一言でいえば高校時代の後悔?不完全燃焼?ですね。高校時代はメンバーや監督・コーチに恵まれ、当時4部から1部に昇格し、都ベスト8まで進むことができました。しかし、高校最後のインターハイ予選は、試合が学校行事と被ってしまい、棄権となり出られなくて…学校行事も全力で楽しんだので、それはそれで良かったんですが、やっぱりもう一度仲間たちと上を目指したいと思いました。当時の体育会は人数も少なく、入部を迷ったのですが、大学の練習に体験で参加させてもらった時に、体育会のような集中できる環境でバスケをしたら先輩たちのように自分も上手くなれるのかなと思ったのも決め手の一つです。

中山:実際に大学生活を体育会で過ごして感じた魅力はなんでしょうか?

中島:朝から晩まで、家族以上にずっと一緒に過ごした仲間との出会いですね。社会人になると何かに打ち込む経験はなかなかないですし、いまだに繋がっている仲間は本当に良い財産であり、濃密な時間を一緒に過ごした体育会だからこそ分かり合えている貴重な仲間なのかなと感じます。大学卒業後も、お互いの誕生日をお祝いしたり、早慶戦後に飲みに行ったりと同期だけでなく先輩後輩とも会っています。あとは、OB・OGの方々の応援、人脈というのも慶應の大きな魅力であると思います。

中山:OB・OGの方々の応援は現役部員の大きな力になっています。社会に出てからも慶應のOB・OGの方々との繋がりを感じる機会はありますか。

中島:たくさんあります。銀行に入ってから、名古屋・シンガポール・米国ロサンゼルスでの駐在を経験してきました。私自身東京でずっと育ってきたので本当に右も左もわからない状況だったのですが、それぞれの地には、慶應のOB・OGの皆さんがいらっしゃって、食事に出掛けたり、休日にはバーベキューに呼んでいただいたりと、まるで、家族のような付き合いをさせていただきました。日本に限らず、グローバルに体育会のOB・OGの方々は仲良くしてくださったので大変心強かったです。

中山:では、現在のお仕事で体育会バスケットボール部での経験が社会で活きていると感じることはありますか。

中島:今の仕事では、いわゆる中間管理職としてチームメンバーをまとめるポジションです。大学時代に主将として、どうやって昇格に向けてチームをまとめていくか、様々なプロセスを踏んで目標達成に向けたアプローチをしていく、チームを奮起させるという経験と通じている部分があると感じます。あとは大学の夏合宿ほどきついものはないですね(笑)オールアウトという、とにかく全力で走っていかに出し切ってフィニッシュできるかというメニューがあったのですが、これをやりきれたので、多少困難な仕事であっても、あれ以上にきついことはないな、と自信を持っています(笑)

中山:オールアウトは響きだけで怖いです(笑)次に現役時代で最も印象に残っている試合はありますか。

中島:やはり負けた試合ですね。自分たちが3部時代に、2部との入替戦で6点差で負けた試合が一番覚えています。

中山:6点差ですか…

中島:今思うと当然の結果でしたね。2部に昇格することが目標でしたが、入替戦に出場できたことでチームとしてほっとしてしまった、安堵の雰囲気があったと思います。皆、ベンチメンバーも含めて全力でプレーしましたが、6点の差は実力差ではなく気持ちの差だったと感じます。最後勝ち切る気持ちがあと一歩及ばなかったのかなと。

写真提供:魁生佳余子氏

中山:やはり気持ちは大事なんですね。学生時代は主将として、また現在社会に出てからもチームをまとめているということで、リーダーシップを発揮する上で気をつけていることがあれば教えてください。

中島:大学時代は、練習のメニューの切り替えを早くすることを特に意識していました。練習以上のものは試合で出ないので、そういう切り替えの遅さは試合にも出てしまうため率先して気をつけていました。また、リーグ戦などの大会期に試合に出られないメンバーやスタメンの相手チームになるメンバーも、モチベーションをいかに持っていくかというところも気にかけていたつもりです。練習前後で個別に話しかけに行き、安心してプレイしてもらえるように努めました。大学時代から言い続けて、社会人となった今でも言っていることは、「当たり前のことを当たり前にやる」ですね。バスケで言うと、スクリーンアウトや速攻でしっかり走ること。「当たり前のことを当たり前にやる」ことは簡単なようで一番難しいことですが、それを40分間やり続けられるチームは強いと思います。今の仕事に置き換えると、お客様のリクエストにはすぐにレスポンスをする、チーム内での情報共有をタイムリーに行う、感謝の気持ちを忘れない等です。ただ、一番肝に銘じているのは、自分が率先してそれを体現する、ということですね。そうでなければ、周りはついてこないので、率先して示すことができるように心がけています。

中山:当たり前の徹底、その通りだと思います。最後に入部を考えている学生や高校生に向けてメッセージをお願いいたします。

中島:体育会への入部決断は、人生の岐路ともなる大きな決断のタイミングだと思います。大学で体育会のバスケ部に入ることに迷う人もいると思います。練習がきついなど大変なこともあると思いますが、それを続けることで想像しなかった未来が広がっていますし、バスケのスキルは勿論ですが、人脈や何か一つの目標にチーム一丸で挑戦する経験といったものは間違いなく通常の4年間とは違ってくると思います。もし今体育会に入って自分がついていけるかみたいな心配があるのだとしたら私は背中を押してあげたいなと思います。そこには応援してくれる仲間が必ずいてくれるので。

中山:ありがとうございます。熱いお話含め、貴重なお話を聞くことができ、また明日からの練習のやる気が出てきました。本日は本当にありがとうございました。

                                                                                                                                                                                                                                                                  

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