−今回インタビュアーを務める法学部2年の野見山洋実(CN:リュウ)です。よろしくお願いします!はじめに簡単な自己紹介をお願いします。
中村:八雲学園高校出身の2017年卒、中村実里です。現在は株式会社味の素で人事に関わる仕事をしています。また、女子部のAC(アシスタントコーチ)も務めています。
野見山:八雲学園と言えば東京有数の強豪校ですよね、バスケはいつから始められたんですか?
中村:バスケ自体は小学校のミニバスから始めて、中学、高校は八雲学園でプレーしていました。インターハイにも出場するような強豪のチームでしたが、高3でキャプテンを務めました。とてもハードな部活漬けの生活だったので、かえって勉強が息抜きになっていました。(笑)
野見山:中村さんは一般受験で慶應に合格されたと伺ったのですが、いつから受験勉強にシフトされたんですか?
中村:高3の夏のインターハイで引退した後に受験勉強に本腰を入れ始めました。元々志望していた国立大学は受験科目が多いこともあって、私立大学志望に変更しました。結果的には、1年の浪人期間を経て志望していた慶應義塾大学に合格することができました。大学入学当初は体育会バスケ部に入ることは考えていなかったので、慶應に決めた理由はバスケとは関係ないですね。八雲学園の先輩が一人いたこともあって、練習に体験に行くと、真剣に何かに向き合うのって楽しいなと感じ、入部を決めました。
高校でバスケをある程度までやりつくした人は、大学では自分の裁量でバスケをしたいと考える人も多いと思います。慶應の体育会バスケ部は、バスケはしたいけど他のことにも挑戦したい人にもおすすめしたいです。
野見山:入部してみて、高校と大学バスケの違いなど感じましたか?
中村:高校は受け身のバスケで監督の指示通り動いていました。一方、大学は自分で考える自主性が求められました。特に4年生のときは社会人コーチもいない時期もあったので、頭も身体も動かしながら、といった状態でした。
野見山:社会人コーチもいない時期もあったんですか、今の私たちは恵まれた環境ですね。では慶應バスケ部の魅力や特徴を教えていただきたいです。
中村:慶應義塾大学ということもあり、いろいろな経験を積んできた人たちが集まってきているなと感じました。バスケのレベルは関係なく、自分の性格を理解した上でチームの中での役割を見出しているという印象を受けました。
野見山:他にギャップを感じたことなどありましたか?
中村:部活の時間とそれ以外の自由な時間を完全に切り離すことができたのが、初めは少しギャップに感じました。授業と部活に合わせて、バイトなどもできました。
野見山:バイトもされてたんですね!
中村:はい、つけ麺屋や焼肉屋などいろいろ体験できました!
野見山:4年時には主将を務められていましたが、どのような経緯で決まったのですか?また、主将として何か意識されていたことなど教えていただきたいです。
中村:小中高とキャプテンを務めましたし、同期と話し合った上で自分がやることになりました。ただし、人前で話してみんなを引っ張るというより、一人一人に向き合って言葉をかけることで信頼の輪を広げていけるようにしました。また、全員の良さを適材適所で引き出せるように少しずつ頼ったことで、チームの中での役割を全員が見つけられたと思います。
現在、共にチームを指導する村林監督(左)と莊司ヘッドコーチと現役引退の際に撮影した写真
野見山:中村さんに一言もらえたら、誰でもついて行きたい!と感じると思います!高校では部活で忙しい中、勉強にも力を入れていたそうですが、大学ではどのように文武両道を実践されましたか?入部を検討する際に勉強面が心配という声がよく聞かれるのですが。
中村:勉強に関してはやはり、自分のやる気次第という部分が大きいと思います。体育会を言い訳にして勉強をおろそかにすることはできるかもしれませんが、体育会に入っているから勉強する時間がないというのは絶対にないと思います。
野見山:確かに大学は自由な時間も多い分、本人のやる気がどの場面でも大切だなと感じています。
お話は変わりますが、中村さんの現役時代で最も印象に残っている試合はいつですか?
中村:降格の危機に陥って臨んだ4年生時のリーグ終盤の入れ替え戦です。自分が相手チームに警戒されて上手くプレーできていなかった時に、同期にもっと自分を出してと指摘されました。周りを大切にしてるつもりでも、周りからは自分で抱え込んでいるように見えていたみたいです。今まで築きあげたものがあったからこそ、同期からの指摘で一皮剥けることができて、最後は自分のために自分らしいプレーを出そうと集中できました。
野見山:長い時間を共にする同期の言葉の重みはやはり格別だったのですね。
中村:あと2年生時のリーグ戦も鮮明に記憶に残っています。背中でチームを鼓舞するキャプテンで、その人のためにという気持ちを原動力に試合に臨みました。結果は負けてしまったのですが、誰かのためになりたい、とあれほど強く感じたのはあの時が初めてでした。
野見山:それだけ力になりたいと思える人に出会うのも、体育会以外だとなかなか無いかなと思います!他にも、4年間の体育会生活を通じて得たものは何ですか?
中村:一人一人とのコミュニケーションを大切にできるようになりました。それぞれが自分の役割を見つけて、一つの組織を作り上げる経験をできたのはとても貴重だったと思います。
野見山:その経験は今のお仕事にも生かされているかと思いますが。
中村:まさにそうですね!現在の人事の仕事は簡単に言うと、細かいニーズや、あって当たり前の福利厚生を調整することです。多くの人とのコミュニケーションが求められる中で、「考動する」ことを大切にしています。相手の性格や立場、どのような表現で、どんな言葉をかければ良いか、を時間をかけて自分の経験則に基づいて「考え」て動きます。これは慶應バスケ部で学んだことです。また、相手への思いやりは、いずれ自分にも返ってくると思うので、これからも「考動」していきたいですね。
野見山:「考動」ですか。確かに何かする前に「考える」というプロセスを丁寧に踏むことは必ず良い方向に働くように思います。今日から早速見習わせてもらいます!では、ACとして今のバスケ部にも携わっている中村さんから見て、今のチームはどのようなチームだと思いますか?
中村:試合でも練習でも、みんなが対等に指摘し合ったり褒め合ったりして、一人一人が際立っているように感じます。あとは、何でも受け止めようとする気持ちがあって素直なのが良いなと思っています。これからも頑張ってください!
野見山:嬉しいお言葉ありがとうございます。頑張ります!
野見山:最後に「慶應らしさ」とはズバリ何だと思われますか!?
中村:つながりの強さが生む好循環ですかね。慶應バスケ部は、部員同士の仲の良さはもちろん、三田会など縦横のつながりがとても強いです。選手たちにとって「常に誰かが応援してくれている」「身近にファンがいる」という実感は、誠実にバスケに取り組んで恩返ししたいという気持ちを起こさせます。この好循環が慶應らしさだと言えると思います!ACとしてこれからは、技術的な事だけでなく、部活の先にある人生にもつながりの強さを生かしていきたいなと思っています。
野見山:本日はありがとうございました。また練習でよろしくお願いいたします!