2024年 自主応募推薦入試:永里叶多

学部:文学部

出身校:美濃加茂高等学校

〈志望動機〉

 私はもともと自由で幅広い研究ができるSFC(総合政策学部)を第一志望とし、AO入試を受験しましたが、不合格でした。次は一般受験で挑戦しようと考えていたときに、体育会バスケ部の先輩から、この文学部自主応募推薦を教えてもらいました。初めは、私自身が理系ということもあって文学部と聞くだけで敬遠していた部分があったのですが、実際に慶應義塾大学の文学部の理念やアドミッションポリシーを見ると、私が研究したいことに完全に当てはまっていて、「私の居場所はここだ!」と運命を感じ受験を決意しました。

 私は文学部の人間関係学系において、子どもたちのリーダーシップを養う教育と、その際の子どもたちに与える言葉の影響について研究し、「未来を担う自立した人材」の育成に貢献したいと考えています。

 高校1年生の時からバスケ選手としてだけでなく、地元の小中学生のコーチング活動も行ってきました。その活動を通じて多くの子どもたちと関わる中で、自分の考えや意見が言えない子が多い印象を受けました。ここで私は現在の日本の幼少期の教育に問題があるのではないか、また、コロナ禍のマスク着用による発言回数の減少がこのような非認知能力の低下を招いているのではないかという疑問を持つようになりました。

 私自身は実際にバスケットボールを通じてリーダーシップを得て自立することができました。だからこそ、大学でも競技に取り組みながら、子どもたちとの触れ合いを通じて研究していきたいと考えています。このような文武両道が実践できる環境を求め、私は慶應義塾大学文学部を志望しました。

〈受験勉強について〉

 この入試は一定の評定と書類さえ提出できれば誰でも受験が可能です。だからこそ、どこで周りと差をつけるかが非常に重要になってきます。私は特に書類に力を入れました。書類では、高校時代に力を入れたことと文学部への志望理由が問われますが、私はそれぞれ約800字ずつ書きました。また、任意提出の書類では、SFC受験時の反省を活かし、何度も見直して修正を加え、約30ページものパワーポイントの資料を提出しました。正直、ここまで書類に力を入れた人はいないだろうと思います。

 試験科目には総合考査Iと総合考査IIがあります。

 総合考査Iは、120分で設問が4つあり、そのうち2つが240字〜300字の記述、残りの2つが和文英訳になっています。記述は、問いに答えるのに必要なポイントは1つにつき約20〜30字程度なので、文章を読んでいく中で最低10ポイント見つける必要があります。あとはこれをまとめ上げるだけなのですが、この作業がとても大変です。1つ1つのポイントを組み合わせながら問いに正確に答えられているかどうかを最後の最後まで吟味しなければなりません。和文英訳に関しては、単語力が重要になってきます。私は早慶レベルの単語帳をやり込むことと、過去の傾向でどんな分野の単語が出やすいのかを予測しながら勉強していました。もし勉強する途中でわからない単語が出てきたときには、もちろん調べて覚えるということも必要ですが、それよりかはむしろ自分の知っている単語でどう表現するかの方にフォーカスして取り組んでいました。

 総合考査IIは、60分で320〜400字の小論文一題のみです。一見余裕があるように思えますが、お題の抽象度が非常に高く、何を問われていてどう答えればいいのかわからないということもあります。そこで、私は問題文を見た瞬間から書き始めるのではなく、精読することから始めました。そして、実際に小論文で自分の意見や考えを述べるには、自身の知見を広げておく必要があります。

私が取り組んだ対策法は主に2つあります。1つ目は、小論文に出てきたお題を色んな先生と対話しながらより理解を深め、対話の中で出た意見で自分の武器になりそうなものを加えていくことです。そうすることで引き出しが増え、質も向上します。2つ目は、YouTubeやTVの討論番組を見ることです。毎日のようにタイムリーな話題について有識者たちが意見をぶつけ合うのでとても参考になります。そこでさらに自分の意見を何か1つでも持った状態から見るとより知見が広がり、自分の意見を引き出すいい練習になると思います。

〈バスケ部について〉

 慶應義塾大学にはスポーツ推薦はありません。部員全員がこのような難しい試験を乗り越えています。だからこそ、高校3年生のときに見た早慶戦は、早稲田大学と戦っている先輩たちが本当にかっこよくて、私もこのコートに立ちたいと思うようになりました。また、練習も日吉記念館という素晴らしい環境ですし、チームメイトやOBの方々含め、みなさん本当に温かくて素晴らしいチームだと思います。

 日本でこのような高いレベルで文武両道が実践できる環境はここしかないと確信しています。この環境でバスケットボールができることへの感謝を忘れずに日々の練習に励み、少しでもチームに貢献できるよう、これからも精進してまいりますので今後ともよろしくお願いいたします。