ブログリレー 小澤力哉

怪我の先に見えたもの

はじめに

誠に僭越ながら自己紹介させていただきます。

私、本年度慶應義塾大学経済学部2年並びに体育会バスケットボール部に所属させていただいております、小澤力哉と申します。よろしくお願いいたします。

本ブログでは、個人的な話ではありますが、私が現在リハビリ中の怪我について書かせていただきます。

拙い文章ではございますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

ある言葉

僕は、7月14日の医学部との練習試合でルーズボールにダイブした際に相手と接触し、右肩を脱臼しました。

痛みは全くありませんでした。ただ、自分でも何が起きたのか分からず、頭が真っ白になったのを覚えています。

不幸中の幸いながら、部長の大谷俊郎先生がその場にいらっしゃった為、その場で整復してもらうことができましたが、救急病院にタクシーで向かいました。

その車中、色々なことが頭に浮かびました。

高校時代の先輩に肩の脱臼を繰り返していた方がいたので、脱臼に対してマイナスのイメージしかありませんでした。

またしばらく運動ができないこと、合宿に参加できないこと、リーグ戦に間に合わないこと、またチームや同期に迷惑をかけること、利き腕をやってしまったということ、癖になってしまったらどうしよう、近い未来や遠い未来を想像して、あらゆるネガティブな感情が押し寄せてきました。

そんな暗い気持ちで、翌日三角巾姿で部室に入ると、ありがたいことに心配してくださる人もいましたが、何人かの先輩に思わぬことを言われました。

「お前、何であのルーズボール飛び込んだの?」

「相手に危なかったし、飛び込むべきではなかっただろ。」

私は、正直、そのバカにされたような言い方に憤りを感じ、言っている意味が全く理解できませんでした。

別に、心配されたかった、同情してほしかった訳ではありません。

でも、何故そのようなことを言われないといけないのか。

当時の私はそんな気持ちでいました。

試合の動画を見返したところ、私のルーズボールへのダイブは、相手の足下に入り込むようなもので、実際相手にとっても危ないものでした。

しかし、プレーしていた私からすると、絶対にボールに飛び込むべきシーンであり、その判断は間違ってなかったと思い、結果として、大きな怪我をしたとしても、そのプレーに後悔はありませんでした。

当時の僕は、そんな言葉聞き流してしまえばいい。

と、何か違和感を覚えながら切り替えていました。

診断結果

大変ありがたいことに大谷俊郎先生の紹介もあり、慶應義塾大学病院で右肩を診てもらうことになりました。

MRIを撮るためにも別の病院にも行き、全ての先生に言われたことは、

「君は生まれつき関節が柔らかい上に、関節が緩い。再脱臼の可能性が非常に高い。」

でした。

医者曰く、痛みが全くなかったのも関節が柔らかいからということ。

一般的に、2度目の脱臼をしてしまったら、手術をしなければなりません。

選手としてやっていく上で絶対に避けたいものです。

“再脱臼”という言葉は、怪我をして間もない私にとって受入れがたいもので、とても重く胸に突き刺さりました。

今までの私だったら、同期や友人に弱音を吐いていたかもしれません。ですが、今回の怪我に関しては、落ち込む時間があったら、自分の身体と気持ちと向き合い、今後どうしていくか考えるべきだと感じました。

同じ怪我をした高校時代の先輩や、同じ怪我ではありませんが過去に繰り返し大怪我をした経験がある友人に相談をしました。

試合に出たい。

練習に出たい。

はやる気持ちを抑えて、この秋シーズン、例え4年生とバスケットができなくなろうが、通常より長い時間をかけてしっかり治す。

そう決断しました。

今の4年生に対して、チームに対して、何も力になることができないという悔しさもありました。

ですが、この先自分が選手としてやっていく将来を考えた上での決断でした。

転機

話を少し変えます。鈴木さん(4年・法学部法律学科)のブログにもありましたが、バスケットボール部には「縦割り」という制度があります。

私は、 泉友樹雄さん(4年・経済学部) 班に所属させていただいています。メンバーは友樹雄さん、津野地さん(3年・法学部政治学科)、僕、杉本(1年生・経済学部)の4人です。

8月中旬に開催された縦割りでは、ドライブをしていました。

その車中では、プライベートなことだったり、バスケットの話だったり、たくさんのことを話しました。

そこで、私の怪我の話題になり、自分の決意や悩みを先輩方に聞いていただきました。

そして話に出たのが、「なぜあのルーズボールにお前は飛び込んだのか」というものでした。

怪我をした翌日に理解できなかった言葉が再び私に突きつけられた時、私は熱くなってしまい、聞いてくださっているにも関わらず、非常に無礼ではありますが、先輩方に反発してしまいました。

「確かに映像を見て、危なかったプレーであったとは思います。でも、僕はあの場面は必ずダイブするべきだと思いましたし、あのプレーに後悔はありません。何故そのようなことを言われなければいけないのか僕には分かりません。」と。

それに対して、友樹雄さんと津野地さんに言われたこと。

それは僕にとってとても大きな影響を受けた言葉でした。

「ルーズに飛び込むことができるのはお前のいいところではある。けど、あのプレーは誰が見ても危なかったと言うし、その事を素直に受け止められることができるかが、お前の成長に繋がると思う。自分の考えを強く持つことは良い部分でもあるけど、その頑固な姿勢が、悪い影響として他の場面でも出ているのではないか。もっと他人の話を聞いて広い視野を持つべきだと思うよ。」

まさにその通りでした。

自分で決めたことは貫き通すという僕の頑固な性格の部分も全て見抜かれていました。

今回の怪我に関しても、僕自身色々なことを考えましたが、あらゆる決断を全て自分1人でするべきだと考えていました。

しかし、それは果たして正しかったのだろうか。

同期、先輩、後輩に対して、この悪い部分が出てしまっていないか。

自分の言動や、この怪我に対して、あのプレーに関して見つめ直すきっかけになりました。

今では、あのダイブが危険なものであったと素直に認め、同じことを繰り返さないようにする為にはどうすればいいのか考えられるようになりました。

この怪我をポジティブに考えるか、ネガティブに考えるか、そしてこの体験を今後どう生かしていくかは自分次第だと思います。

まだまだ未熟な僕の話を真摯に聞いてくださり、真剣にアドバイスをくださり、そして考えるきっかけを作ってくださった友樹雄さんと津野地さんにはとても感謝しています。

ありがとうございました。

友樹雄さん班。※杉本の格好は罰ゲームです

現在

現在は、三角巾での固定期間が終わり、リハビリが始まって3週間ほどです。

グラグラでくしゃみをしたら外れそうになっていた肩も徐々にくっついていっている実感があります。

リハビリが始まった初日は腕を45度までしか上げられませんでしたが、今では180度近く挙げられるようになり、ジョギング程度の腕の振りができるようになりました。

毎日毎日できることが増えていて、嬉しいことが多いです。

しかし、腕が完全に動くようになっても、この安静期間で落ちてしまった筋肉や心肺機能を元に戻さなければならず、まだまだ復帰には程遠いのが現状です。

復帰した後も、数ヶ月練習していない分、死に物狂いで周りについていってブランクを埋めなければなりません。

そもそもちゃんとシュートは打てるようになるのか、ドリブルはつけるのか。

負傷前と変わらず全力でルーズボールに飛び込めるか、リバウンドを取りに行けるか。

また外れてしまったら。

まだまだ不安はたくさんありますし、課題も山積みですが、復帰に向けて1つ1つ乗り越えて、辛抱強く頑張りたいと思います。

ここまで、大層なことを語っていますが、僕はただの怪我人です。

常にチームに迷惑をかけているということを忘れてはいけません。

今の僕がチームにできることは何か。自分はどういった形でチームに貢献するか。

常に自問自答しながら、少しでもチームの力になれるよう頑張っていきたいと思います。

最後に

8月末からリーグ戦が開幕しました。

秋シーズン最大のチーム目標である1部昇格に向けて、慶應一丸で戦います。

これからも応援よろしくお願いいたします。

最後は全員が笑って終われるように。

次回は肥田大輝(1年生)です!乞うご期待ください!