
平素より弊部をご支援いただいている皆様、誠にありがとうございます。誠に僭越ながら自己紹介をさせていただきます。慶應義塾大学理工学部応用化学科2年の伊藤健仁と申します。誠実で心優しく、学生マネージャーとしてチームの練習を常に支援し真剣に選手に寄り添う、金兌桓君よりバトンを受け取りました。今回は、今シーズンの振り返りというテーマで文章を綴らせていただきました。拙い文章ではございますが、最後までお読みいただけますと幸いです。
私は1年生の時に腰を負傷し離脱しており、昨シーズンの終了後、代替わりをしてからチームに合流しました。一時は部活を辞めるかどうか、本当に迷っていた時期もありました。しかし同期をはじめ、先輩・学生コーチ・社会人スタッフの方々などに相談に乗っていただき、仲間の大切さや、人生において最後となる“本気で熱中できる時間”の尊さを感じ、もう一度大好きなバスケットに打ち込む決意をしました。あの時期に支えてくれた仲間たちには、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
今年は初めてひとつのシーズンをやり遂げ、精神面・身体面・技術面において大きく成長できた1年だと感じています。昨シーズン、私はAチームに所属していたものの、ローテーションメンバーには選ばれず、かといってBチームの主力としてDリーグに出場することもありませんでした。今振り返ると、チームの中で最も難しい立場でバスケットをしていたと感じます。そのため、結果に期待するのではなく、常に等身大の自分を成長させ、磨き続けることを意識して毎日を過ごしました。
筋トレはもちろん、自主練習でスキルを最大限磨き、前進と後退を繰り返しながら、一歩ずつ着実に前へ進もうと努力しました。コートが空く時間から体育館に行き、誰よりも早くシューティングをしたり、予定がない日は、誰もいない夜の時間に体育館に行ったりしました。時には女子バスケ部の監督にご相談の上で、女子部の練習に参加させていただくこともありました。記念館が第二の家であるように、常にバスケに浸っていました。結果を得るため、評価を得るためといった目的ではなく、自分という選手を磨き続ける一心で、ただひたすら成長に没頭する時間を過ごすことが出来ました。
しかし、コート上では常に正しい選択をし続けなければならず、ミスを起こし精神的に追い込まれる瞬間も多々ありました。成長していたとしても、見る人によってはそれを正しく評価して頂けるとは限りません。だからこそ外的な評価に囚われすぎず、客観的にバスケットボール選手として自分が成長しているのかを考え続けました。そんな中、ACの二ノ宮さんは、私がバスケをひたむきに頑張るための大切な柱のような存在でした。私が試合に出ていない中でどういうことを頑張るべきか、私の強みはなんなのかを冷静に評価をして頂き、ワンプレイ事に的確なアドバイスをして頂きました。私にとって、本当にその一言一言が、バスケをひたむきに頑張るための大切な柱でした。上手くいってもミスをしても、チームメイトや学生コーチは常に見てくれていて、どうすればよかったのか教えてくれたり、成長していることを伝えてくれたりしましたし、悩みを共有し、時には笑い合いながら乗り越えてきました。皆と共に切磋琢磨し、可能性を切り捨てず、ひたむきに全員で戦う。それが私にとって一番のモチベーションであり、結果に関わらずバスケットに向き合い続けられる最大の理由でした。
新人戦では、短期間ではありますが、同期の推薦により副キャプテンとして活動させていただきました。私自身は、キャプテンや副キャプテンといった肩書きにとらわれず、役職関係なく、チームに発信できることは常に発信し続けたいと考えていました。
バスケットボールやチームに全てを捧げる揺るぎない忠誠心、仲間を尊重し自らを律し続ける品格と徳、謙虚さ、そして勝利と成長への飽くなき渇望と執着心。それらを兼ね備えた人間になるため、常にその姿勢を大切にして練習に臨みました。
リーグ戦を経て強く感じたのは、自信や向上心はチーム全体に伝染するということです。誰一人欠けることなく戦い抜こうとする姿勢が、結果を後から追いつかせる“強いチーム”を作ります。勝利を得るために無理に何かをするのではなく、強いチームとはどのような姿勢であり、どういうマインドを持つのかを描く。まず形から入り、全員が心をひとつにしたとき、結果は自然とついてくる。そう実感しました。
今シーズンは、勝たなければならない試合を落としてしまったことが、最終的な結果に大きく影響したと感じています。特に学習院戦の敗戦は、痛恨の一戦でした。実力では我々が優っていたかもしれませんが、彼らはコート上で常に声を出し、鼓舞し合い、チーム一丸となって戦い続ける“集団としての強さ”をあの試合では持っていました。あの一戦から学べることの多さを強く感じています。出場する選手だけでなく、出ていない選手も、チームスタッフ・保護者・応援してくださるすべての方々への感謝を忘れず、心をひとつにし、全員で戦うことの大切さを学びました。
また、言葉の力や質の重要性も痛感しています。質の悪い言葉は不安やストレスを生み、質の良い言葉は信頼と安心感を生みます。指揮をとる際、自信を削ぐ発言や可能性を潰す発言をするのではなく、可能性を最大限引き出し、チーム全員が自分に価値を感じ、自信を持ってプレーできる環境を“自分たち自身で”作っていかなければならないと強く感じました。対戦相手が乱暴なプレイをした際にはしっかり抵抗し、困難に直面している仲間には寄り添い、シュートが決まった時には必ず共に喜ぶ。
そうした日々の積み重ねこそが、戦術以上にチームを機能させる原動力であると実感しました。戦術より先に感情があります。どれだけ知識や技術があっても、心が通じ合っていなければチームは動きません。選手だけではなく全役職間での信頼を築きあげ、仲間の感情や想いを尊重し、心をひとつにしたとき、初めてチームは真に機能的に動き出すと感じています。
来年は最上級生の人数が少なく、我々新3年生一人一人がチームを引っ張っていく気概が必要であると感じています。“自分が良ければそれでいい”という考えではなく、チーム全体を巻き込み、皆で勝利をつかみにいく。そのようなチームを作れるよう、自分にできることはすべてやり続け、姿勢を大切にし、結果は後からついてくる。そう信じて、来年の一年間を頑張っていきたいです。
次は、理工学部の後輩で、常にポジティブな声掛けをし続け、コート上においても着実な成長を刻んでいる永嶋くんにバトンを渡します。




