
明るいキャクターでチームを盛り上げてくれる後輩、永嶋からバトンを受け取りました。慶應義塾大学法学部政治学科2年の山田真矢と申します。平素より慶應義塾大学体育会バスケットボール部をご支援いただき、誠にありがとうございます。今回は昨シーズンの振り返りについて綴らせていただきます。拙い文章ではございますが、最後まで読んでいただけますと幸いです。
昨シーズンを振り返ると、記憶という範囲を超えて、身体の奥に刻み込まれた景色がいくつもあります。
敗戦がほぼ確実となった2巡目の国際武道戦の終盤は、今思い返しても胸が熱くなります。点差が開き、会場全体がどこか諦めを飲み込みかけていた中で、4年生を中心に選手たちは最後の0.1秒までディフェンスの姿勢を崩しませんでした。埼玉工業戦では、2m超えの留学生に対して、徹底的に押さえつけ、攻め続ける姿を、私はゴール下の至近距離で見ていました。ベンチに飛び込んででもルーズボールを追い続ける姿、コート内外で飛び交うセットコールの声、力強いドリブル、その必死さすべてが胸に刺さり、勝敗を超えた何かがそこにあることを痛いほど感じました。
その瞬間、私は思いました。これが慶應のバスケだ。綺麗ではないけれど、どこまでも泥臭く、しぶとく、絶対に折れない。何度も訪れた接戦の場面で、私はただただ選手を信じ続け、緊張と感動が入り混じる瞬間を味わいました。そのスタイルが、22試合にも及ぶ長いリーグ戦の随所で体現されていました。
その過程で、私は自分の未熟さに何度も押しつぶされそうにもなっていました。部員数が多く、一人ひとりに目を配ることが簡単ではない現チームの中で、思うように役割を果たせない自分が情けなく、申し訳なさと不甲斐なさで涙が止まらなかった日もありました。練習後、自宅に戻ってからも、静かな部屋でパソコンと見つめ合う時間が続きました。画面に映る文字は確かにチームのための作業なのに、コートで躍動する選手たちとはあまりにも距離があるように感じてしまう。自分はチームに貢献できているのか。そんな問いが頭から離れず、疲れや眠気とともに、自分の存在価値まで曖昧になっていく夜もありました。
それでも私が折れずにいられたのは、それぞれの立場で勝利に向けて戦い続けるこのチームの存在があったからだと思います。昨シーズンの主将・廣政さんは、どんな逆風の中でも誰よりも勝利にこだわりチームを導く灯台のような存在でした。副将の椎橋さんは、誰かが崩れかけた瞬間を見逃さず、その人の隣に寄り添い、丁寧に言葉を紡ぎながら心を支えてくれました。その2人を中心に部員全員がリーグ戦を通して成長し続けた最高のチームでした。そして深夜のスカウティングと翌朝の練習の狭間で、黙々と役割を果たし続けたスタッフの仲間の姿は、私自身、その覚悟に突き動かされ、支えられていたのだと実感しています。こうした一つ一つの行為が積み重なって生まれる熱量こそ、このチームの情熱の源泉なのだと、何度も胸を打たれました。
マネージャーはコートに立ちません。スコアを残すこともなければ、歓声の中心に立つこともありません。しかし、あの日、選手たちがその刹那まで足を止めず、情熱を燃やし続けた姿を間近で見てきました。だからこそ私は、表舞台の光を選手に託しながら、影で静かにチームの鼓動を支えるスタッフとしての役割を、これからも迷わず歩んでいきたいです。
今、私はちょうど折り返し地点にいます。この2年間を振り返ってわかるのは、私はまだまだ未熟だということです。だからこそ、ここからもう一度、初心に帰り、覚悟を持って、再び走り始めたいです。来シーズンからは3年生になります。未熟さを理由に逃げることはできない立場になります。
「この先の2年間でどんなスタッフに成長し、どんな姿で引退を迎えたいのか」
これは入部当初、主務だった田中さんからいただいた問いでもあります。その問いに胸を張って答えられるよう、これからも熱く、誠実に、このチームに向き合い続けていきたいと思っています。
次は、笑いを生み出す軽やかさと、陰で積み上げる努力を併せ持つ三枝にバトンを託します。




