昨シーズンを振り返って:村田健太

 誠に僭越ながら自己紹介をさせていただきます。慶應義塾大学法学部法律学科2年の村田健太と申します。ベンチプレスのMax重量は驚異の130kgを誇る「慶應バスケ部のきんに君」こと中山圭さんからバトンを受け取りました。拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただけますと幸いです。

 前シーズンを振り返ると、苦しい時間が多かったという印象があります。2月のシーズンインから約2か月後の3月末、練習試合中に捻挫をし、その後およそ2か月間、全体練習に参加することができませんでした。ちょうどその頃、自分の中で成長している感覚をつかみかけていた時期でもあったため、悔しさでいっぱいでした。何よりも、大好きなバスケットボールができなかったことが一番辛かったです。

 怪我が治り、6月の新人戦ではベンチ入りすることができたものの、そこから思うようにいかない期間が続きました。ミスを繰り返す中でコーチからの信頼も徐々に失い、Bチームの練習試合でも十分なプレータイムをもらえない状況が続きました。その影響もあり、メンタル面でも次第にマイナスな方向へと傾いていきました。もともと物事をネガティブに捉えがちな性格も相まって、今振り返ると大したことないミス一つにもずっととらわれているような状態でした。

 そんなマイナスなメンタルを抱えたまま迎えた8月末、Aチームのリーグ戦と並行して行われる、Bチーム主体のリーグ戦であるDevelopment League(通称:Dリーグ)が始まりました。

 私は、このDリーグを通して大きく成長することができたと感じています。そのきっかけとなったのが、第2戦の中央大学戦でした。この試合で、私は1秒もコートに立つことができませんでした。もちろん自分の実力不足が原因ではありますが、恥ずかしながら、どこかで「少しは試合に出られるだろう」という根拠のない自信を持っていた自分がいました。Bチームの試合であっても、出場できない選手がいる中で、そのような甘い考えを抱いていたことは、本当に恥ずかしく、申し訳なく思っています。

 この日から、「Bチームの試合にすら出られないのであれば、自分がこの部活にいる意味はあるのだろうか」と自問自答を繰り返すようになり、部活を辞めることが頭をよぎるようになりました。それでもまた頑張ろうと思えたのは、このバスケ部に入った目的をもう一度自分に問いかけたからです。

 私は中等部から慶應に入り、ずっと早慶戦を見てきました。歴代の先輩方のコート上の姿に憧れを抱き、自分もそうなりたいと思ったのが入部した目的です。それを叶えるために「絶対にやめるわけにはいかない」と強く思いました。それからは、やめるぐらいならと背水の陣で部活に取り組むようになり、毎回の練習の反省、戦術の確認、毎日ストレッチを続けるなど、自分の生活を徐々に改めていきました。その中で、自分の悩みを聞いてくださり、相談に乗ってくださった、副将の椎橋遼生さん、昨年度の主将の林泰我さん、トレーナーの大室泰三さん、この御三方の言葉に自分は心が救われ、頑張る原動力になっていました。本当に感謝しています。

 そのような生活を続ける中で、徐々にDリーグの試合でも起用していただけるようになりました。時には自分の好プレーがインスタのハイライトに載り、それを見た遼生さんや泰我さんが自分に連絡をくださった時はとても嬉しかったですし、それが自信にもつながっていきました。

 Dリーグでは、1部・2部大学のBチームを相手に戦い、最終的に白星を挙げることはできませんでした。しかし個人としては、自分の強みを改めて理解できたこと、強い相手にも通用する部分があると実感できたこと、そして日々のプロセスの積み重ねがパフォーマンスや自信につながるということを再認識でき、大きな収穫があったと感じています。また、ネガティブ思考になりがちな自分でも、捉え方次第でマイナスな出来事も頑張るエネルギーに変えられるのだという気づきを得ることができました。ここまで読んでくださった方の中には、「当たり前のことだ」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私にとっては非常に大きな学びでした。

 最後に、Bチームコーチの甲谷勇平さんにも感謝を伝えたいと思います。甲谷さんは、私が上手くいかない期間も、私の実力をずっと信じてくれていました。私の強みを理解してくださっていて、私がプレーの方向性で悩んでいて、迷いそうなときも、自分の強みを伸ばして振り切ってやるように言ってくださり、正しい方向に導いてくださったと思っています。

 甲谷さんのおかげで自分をぶらさずにDリーグで自分の武器であるシュート力を証明できたと思っています。こんな自分を信じてくださり、本当に嬉しかったですし、心から感謝しています。

 振り返るとあっという間でしたが、私にとって大きな意味のあるシーズンになったと思っています。一方で、Aチームで試合に出場し、勝利に貢献するためには、まだまだ実力が足りないという現実も強く実感しています。現状に満足することなく、これからも努力を惜しまず、継続して取り組んでいきたいと思います。

 日頃より支援してくださっている、バスケットボール三田会の皆様、慶應義塾体育会バスケットボール部を応援してくださっている方々、誠にありがとうございます。これからも慶應義塾体育会バスケットボール部の応援をよろしくお願いいたします。拙い文章ではございましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次は、面白くてユーモアあふれる後輩、立岩丈にバトンを渡します。

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