最近夢中になっていること:城戸宏樹

 慶應義塾大学2年の城戸宏樹と申します。平素より慶應義塾体育会バスケットボール部をご支援いただき、誠にありがとうございます。今回は、言葉の温度で人を惹きつける文学部の語り部、吉田壮一郎からバトンを受け取りました。

 私は現在、中目黒のおでん屋で同期の濱島とともにアルバイトをしています。同期の数名が訪れてくれたこともあり、部活の仲間とのつながりを日常の中でも感じられる、温かい職場です。私は主にホール業務を担当しており、メニュー説明や追加オーダーのご提案、バッシングなど、いわばお店の空気をつくる役割を担っています。

 その中で最近夢中になっているのが、客単価を上げることです。ただ数字を上げることが目的ではなく、お客様一人ひとりにより満足していただくこと、お店全体の価値を高めることに、自分なりのやりがいを見出しています。11月に入り気温が一気に下がったことで、温かいおでんを求めて来店されるお客様が増え、店内は連日賑わっています。そのような中でも、弊部で培った視野の広さを活かし、細部に気を配りながら丁寧にコミュニケーションを取り、押し付けがましくならないよう配慮しつつ追加のおでんをご提案しています。さらに、濱島が手がける絶品のサイドメニューも積極的にご紹介しています。

 もちろん私一人の力ではありませんが、結果として客単価を300円以上向上させることができました。ぼんやり働いても給料は変わりませんが、せっかく働くのであればやりがいを見つけ、お客様にもお店にも良い影響を与えられる行動を今後も続けていきたいと思っています。こうした経験を通して、「どの場所にいても、自分の姿勢ひとつで世界の見え方は変わる」ということを実感しました。これは部活でも、学業でも、アルバイトでも共通して言えることだと考えています。

 前シーズン、私は左膝の半月板損傷により、約1年半という長い離脱期間を経験しました。長くコートに立てない時間は想像以上に厳しく、自分の無力さや焦りと向き合う日々でした。しかし、この経験は自分にとって大きな転機にもなりました。プレーできない期間に外からチームを見ることで、練習の意図や仲間の努力、チーム全体の流れをより深く理解できるようになり、「チームのためにできることは何か」を考える姿勢が身につきました。

 だからこそ、来年上級生になるにあたり、これまで支えてくださった方々に恩返しができるよう、自分なりの貢献をしていきたいと考えています。プレー面はもちろん、日々の練習姿勢や声かけ、環境づくりといった部分でも、チームを前に進められる存在でありたいと思います。長期離脱を経験したからこそ気づけた視点や学びを、これからのチームに還元していくことが自分にできる役割だと感じています。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 次は、真面目で勤勉、広い心で私たちの些細な相談にも耳を傾けてくれる頼れる兄貴、高野さんにバトンを渡します。

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