ブログリレー 木村直哉

4年生になって見えてきたこと

はじめに

 こんにちは。慶應義塾大学法学部政治学科4年、ならびに體育會バスケットボール部アナリストを務めさせて頂いております木村直哉と申します。

日頃より、活動へのご支援とご協力を頂きまして、誠に有難うございます。

今年は新型コロナウイルスにより、何事も例年通りにはいきません。今までがどれだけ恵まれていた環境だったかを実感しました。日々、バスケットボールが出来ることに感謝して、残りの期間を悔いのないように活動する所存でございます。

このような状況下ではございますが、「3部全勝優勝」「早慶戦優勝」に向け、日々精進して参りますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

昨シーズンを振り返って。

 昨年の6月、3年ぶりの早慶戦優勝を果たした私たちは、リーグ戦での1部昇格が見えてきたと感じていました。しかし、結果は3部降格。想像もしていなかった結果に、チーム全員が呆然としていました。

今振り返ると、当時3年生だった私は、チームの為に「自分が出来る事」をただ必死に行っているだけでした。チームが勝つ為に、対戦相手を分析し、それを共有する。日中は試合の動画を5時間以上見ることは当たり前とし、寝る間も惜しんでスカウティングを行っていました。

しかし、最上級生になってみると当時の自分は不十分だったと感じています。

最上級生になって想う事

 昨年11月に4年生が引退し、最上級生として【早慶戦優勝・2部復帰】を目標に掲げ、チームが再スタートしました。ところが、新型コロナウイルスの流行により、2月末より活動自粛。部員全員がもどかしい気持ちでいっぱいでした。しかし振り返ると、この期間があったからこそ、今の自分たちがあると感じています。

というのも、練習が出来ない分、オンラインでのミーティングが中心となり、「考える力」がつきました。(この話については、4年藤井のブログを読んで頂けると幸いです!)

 そして、8月になり活動自粛が徐々に解除されると、変化は一目瞭然でした。以前の与えられたものをひたすらにこなす思考停止状態から、チームに何が必要かを考え発信する部員が増えてきました。特に自主練習は短時間で密度の濃い練習を行えるようになりました。以前までであれば、ただ本数をこなすシュート打っているだけでしたが、今では「試合ではどう動くか」や「自分の役割は何か」を考えて練習しています。

(提供元:慶應義塾広報室、撮影者:並木智美)

練習中にも話し合っています!

 他の部員と同じように私自身も大きな変化がありました。「役割の変化」などの外から見て分かるような変化ではありません。それは、「全体像が見えるようになったこと」です。たったそれだけの事かと思われるかもしれません。

けれども、この考え方の違いで当事者意識を持って考える範囲が変わります。

 昨年までの自分は「スカウティング」という一部しか見えていなかったため、チーム内で起こる他の事象に対して目を向ける事が出来ていませんでした。また、気付けたとしてもその事象は自分が介入する事象ではないと勝手に決めつけていました。

しかし、全体像が見えるようになった今、「スカウティング」はチームが勝つ為の一部でしかありません。チームが勝つ為には、スカウティング以外の事象に対しても、「自分が解決しなくてはならない。」と考えるようになりました。

存在意義

 今年の代では部員全員が「自分がチームにいる意味」を考え続けてきました。その中で、スタッフの存在意義についても議論しました。私はこのような話し合いを通じて、これまでのスタッフに欠けていたことは「当事者意識」と「文武両道」だと気付きました。

 今年のチームでは「文武両道」を「学び(文)と実践(武)を繰り返すことで識見を生むこと」だと解釈しています。つまり、学問と部活動をそれぞれ独立した道ではなく、混ざり合う一本の道と捉えています。

 これらを日常生活に落とし込んだ例として、「練習中の声」が挙げられます。

 以前から、「練習中のスタッフの声が少ない」という課題がありました。

 まず、そもそも当事者意識が無ければ、声を出すことができません。けれども、そのとき、ただ声を出せば良いというものではありません。その声には「責任」が伴います。その責任とは、「学ぶ責任」です。これはスタッフに限らず選手も同様ですが、練習外でバスケットボールについて学ばなければ、正しい意見は発信できません。したがって、練習外を「学び」の場、練習中を「発信」の場と考える必要があります。

このような考え方をチーム内に浸透させていくことで、徐々に雰囲気が変わっていきました。スタッフは主体的に声を出すようになり、さらに、選手もスタッフの声に耳を傾けるようになりました。

(↑練習中、スタッフはコートサイドから的確な指摘を行います。
提供元:慶應義塾広報室、撮影者:並木智美)

最後に

 ここまで、昨年と比較しながら4年生になって見えてきたことを書かせて頂きました。こうして振り返ると、全ての行動や思考の根底には「チーム哲学」が欠かせないことに改めて気付きました。

 そこで最後に、チーム哲学の中でも4年生が最も大事にしたいと考えている「コミュニケーション」について触れて終わりたいと思います。

何故、この「コミュニケーション」を重視したいかというと、部員全員がチームに対して当事者意識を持ち、上下関係を気にすることなく発信してほしいという想いがあります。

しかし、これまでにも書いたように自分の発言には責任が伴います。何も学ばず、発信ばかりするのはただの愚痴です。自ら学び、「どうやったらチームが良くなるか」、「試合に勝てるようになるか」を考え抜くことが必要です。この責任を果たしているのであれば、下級生・上級生を気にする必要はありません。

下級生・上級生・選手・スタッフ、どの立場であっても【3部全勝優勝・早慶戦優勝】のビジョンを核に、当事者意識を持つことで最高のチームをつくることができると考えています。そのための努力であれば惜しむことなく出し切る覚悟でいます。残り短い期間ではありますが、チーム一丸となって勝利を掴み取りに行きます。

今後とも慶應義塾體育會バスケットボール部への応援を宜しくお願い致します。