「覚悟」の1年間 -小福川莉奈

慶應義塾大学法学部法律学科4年ならびに体育会女子バスケットボール部に所属の小福川莉奈(CN:ナミ)と申します。宜しくお願い致します。

昨年12月に引退し、お正月は実家でゆっくりと過ごしました。毎年食っちゃ寝食っちゃ寝の寝正月です。本来ならば今頃体育館へ足を運び、お正月で鈍った体から抜け出そうという一心で自主練に励む日々を送っていると思います。引退した今、こうして引退ブログを書く時がきたことに感慨深さを覚えています。

この引退ブログでは、主に4年生として過ごした最後の1年間について、想いを綴りたいと思います。同期からは私の日本語は下手だとよく言われており、私自身その自覚もあります。拙い文章になりますが、最後まで読んで頂けたら幸いです。

一昨年(2019年)の12月から私たちが最上級生となるチームの練習を開始しましたが、当時はこのような厳しい1年になるとは想像もしていませんでした。2月から本格的に新チームとして春シーズンに突入した時、これからは全ての出来事に「最後の」が付いて回り、それらを全てやり切って終えるものであると勝手に思っていました。

「最後の春シーズン」、「最後の慶関戦」、「最後の合宿」。新型コロナウイルスの影響で練習や大会の中止が続き、そういった言葉も発せない状況になってしまいました。そんな中で始まったのが、オンライン上での縦割りミーティングやトレーニングでした。こうした大変な時期でも、自分の部屋で平穏な毎日を送ることができたのは、部員の皆んなのおかげだと思います。

自粛が終わり、ついに練習が再開されました。その練習は、参加人数を半分に分け、さらには部員同士の距離を十分に取ったものでした。慣れない状況にどこかやりづらさを感じながらも、バスケットボールができる喜びを噛みしめていました。

オンラインでのミーティングを重ね、自粛期間中もチーム力の向上に努めた

しばらく経つと全体練習が可能となり、24人全員が集まってようやくリーグ戦に向かって準備を進めていくことができました。

リーグ戦はどのような形であれ開催されると信じて活動をしていました。しかし、チーム面においての不安は少なからずありました。

春シーズンにきつい練習を乗り越え、チームとしての土台を作る。しっかりと土台を作り万全な状態で1年生を迎え入れ、チームの強み弱みを探る。そして夏合宿を全員で乗り越えることによって得られる一体感を糧に、リーグ戦に一直線に向かっていく。

これが、代替わりした頃に私が思い描いていた1年です。

実際には、春シーズンは途中で終わってしまい、合宿も行うことができませんでした。正直なところ、チームとしての一体感を育むための瞬間や出来事というのは、今年はほとんどなかったと考えています。それでも、日々の練習中の掛け声、外からの指摘やアドバイス、そしてそれぞれがコートの中で切磋琢磨する姿勢がチームを1つにしていったと思います。

この状況を経て、バスケットボールは技術だけではなく、チーム力を磨く上でも日々の積み重ねが大切であると改めて実感しました。

待ち望んでいたリーグ戦は9月から開催され、私たちは無事に公式試合を行うことができました。同じ記念館で練習に励んでいたにも関わらず、リーグ戦が中止となってしまった部活も多くあります。女子バスケットボール部がリーグ戦に出場できたことがどれだけ恵まれていることなのか、そしてどれほどの関係者の方々がご尽力下さったかを実感しています。

また、リーグ戦は無観客試合での開催となり、会場に入場できる人数の制限が設けられたことから、物理的にチーム全員で試合に臨むことはできませんでした。会場に入れなかったメンバー、あるいはベンチに入れなかったメンバー。様々な想いがありますが、試合の勝利や、目標を達成できたことは紛れもなく24人で掴み取ってきたものです。一人も欠かさず戦い抜くことがどれほど重要なものであるか、断言できます。

改めて感じた日々の積み重ねの大切さを後輩に受け継ぐ

私個人としては、順風満帆なシーズンを過ごしてきた訳ではありません。

3年時に比べてプレータイムが少なくなり、出場することができなかった試合もたくさんあります。自分が微妙な立ち位置にいると分かっており、どうにか打開しなければならないという思いから、日々の練習も緊張していました。勿論悔しかったです。

課題は分かっているのに、思うように成長できない自分にもどかしさや腹立たしさを感じる時もありました。それでも、後輩がコートに立って奮闘している姿は純粋に嬉しかったです。悔しくはありましたが、不満に思ったことはありません。

また、今シーズンは同期にとても支えられてきました。1年生の頃から、お互い過度に干渉し合う関係性ではありません。それでも、試合に出る時には「ナミ頑張って!」と声をかけてくれたり、試合後に声をかけてくれたり。あるいは練習後に連絡をくれたり、時にはそっと見守っていてくれたり。上手く言葉にはできませんが、同期には本当に支えられました。ありがとう。

どんな時も支え合ってきた4年生6人

コロナ禍でも1年をやり切って引退できたことを嬉しく思います。そして、バスケットボールができる環境があることを感謝する大切さを、身を持って痛感した1年でした。社会人になりスポーツをやめてから気づくのではなく、この現役時代に心からそう思えたことはとても良かったと思っています。

また、自分の中で納得のいく1年を過ごすことができました。

今年の1年間は、過去の3年間があったからこそやり遂げられたと思います。怪我をした年、思うようにいかず苦しんだ年、振り返れば嬉しいことも辛いことも蘇ります。学年としては多方面にたくさんのご迷惑やご心配をおかけしてきたと思います。しかし、私たち4年生が各々過去に感じてきたこと、そして先輩方が残してきたものを反映させて「覚悟」というスローガンを掲げ、3部1、2位進出という目標を立てて活動してきました。今となっては過去の3年間も、そして最後の1年も、自分にとって欠かせない経験です。

苦しかったのは、私たち4年生だけではありません、今年度は後輩にとっても苦しい年だったと思います。1年生はチームに合流するまで期間が空いてしまいましたし、2年生も初めての春シーズンは途中で終わり、最後の新人戦は出来ず仕舞いでした。3年生も最終学年に上がる手前の、良い意味でプレッシャーがなく沢山のことを吸収できる最後の1年が削れた形になりました。

そのため、バスケットボール部として今年が後輩にとって「最高な1年」になったとは思っていません。むしろ、来年、再来年以降ステップアップするための踏み台と捉えられても構わないくらいの気持ちでいます。しかし、このように引退して最後に振り返ったとき、こういう1年も必要だったなと感じてもらえていたら嬉しいです。まだまだ不安定な状況が続いていますが、これから後輩たちにとって満足のいく1年になることを願っています。

異例な1年間だったこそより思い入れの強いものになった

引退した今でも、やはりバスケットボールがやりたくなります。もちろん大学に入学する前からバスケットボールは好きでしたが、こんなに恋しくなるほど好きになるとは思ってもいませんでした。それは、大好きなチームで最後までバスケットボールができたからだと思います。後輩、そして同期には本当に感謝しています。

最後になりますが、体育会バスケットボール部を通じて関わった全ての皆様、そしてこの1年間、対面することが難しいなか様々な形で応援してくださった皆様に感謝いたします。

今後はOGの立場として、体育会バスケットボール部を見守り続けたいと思います。

ありがとうございました。