『引退ブログ』
こんにちは。
慶應義塾大学文学部ならびに体育会女子バスケットボール部4年の河村さくら（CN：コト）と申します。
引退ブログということで、４年間書き続けてきたこのブログも、これが最後となります。
さて、小学１年生から始めた約16年間のバスケットボール人生を振り返ろうと筆を進めるうちに、とても書ききれないことに気が付きました。
そのため、今回は、慶應義塾体育会女子バスケットボール部での４年間を通して、私が得られた学びと、沢山の出会いへの感謝の想いを少し綴らせていただこうと思います。
拙い文章にはなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
４月１日、入学式当日の午後に行われた練習で、沢山の先輩方に囲まれながら入部宣言をして、私の体育会人生がスタートしました。
入部のきっかけは、知り合いのOBの方に誘われて見学させていただいた練習です。
学生一人ひとりが主体となって練習をつくり上げている姿に感銘を受け、この環境に身を置くことで、バスケットだけでなく人としても成長できるかもしれない、そう思い、入部を決めました。
実際に入部してから、先輩方と過ごした３年間は私にとって非常に貴重な日々でした。
その中で感じ学んだことはたくさんありますが、２つほどお伝えさせていただきます。
ひとつは、「毎回の練習に対する意識の高さ」です。
入部当初、慶應バスケ部では、練習メニューは内容から順番まですべて学生によって考えられていました。
事前に共有されるメニューを見て、各々が全体練習が円滑に進むための最大限の準備をしてくる。
そして、練習が始まれば自分を高めるだけでなく、学年関係なしにチーム視点で練習を観察し、全体に自身の感じたことや意見を共有する。
この「毎回の練習に対する意識の高さ」で日々練習することで、個々のレベルアップだけでなくチームの結束力も高まっていくのを肌で感じました。
もうひとつは、「慶應らしいバスケットとは何か」です。
それは、泥臭い頑張りとチームワークであり、どんな相手にも粛々とやるべきことを遂行し最善を尽くすバスケットであると考えます。
どの大学よりも多くの方々が来てくださっている応援席を見て、その方々に「応援したいと思ってもらえるチームでありたい」そして、「その応援を結果で返せる強いチームでありたい」と思わせてくれる環境が慶應バスケ部であり、先輩方から受け継がれてきた想いのように感じました。
そして、先輩方の想いを受けて迎えた最後の１年。
シーズンの初めに私は「心から笑って引退する」という目標を立てました。
最上級生として自分はどうこのチームを引っ張っていくべきか、自分に求められている役割は何か、を考えるようになりました。
ただ考えすぎて、チームや周囲の期待に応えようとするあまり、「自分がこうありたい」という純粋な想いや、自分らしい貢献の形を見失っていたようです。
だからこそこの目標にたどりつきました。
周りの期待に応えるためにも、まずは自分が心から納得できる貢献の仕方で役割を果たし、引退する日に心の底からやりきったと言える自分でありたい、という想いが込もっています。
４月のトーナメント、５月の早慶定期戦、６月の慶関定期戦…。
そして迎えたリーグ戦。
結果は３部５位。
２部昇格には届かず、最後のシーズンも結果を残すことができませんでした。
リーグ戦の約３週間後には六大学対抗戦が控えていましたが、リーグ戦で結果が残せなかったことへの不甲斐なさや少しの喪失感から、モチベーションを保つのが難しい時期だったように思います。
しかし、結果を残せなかった分、感謝を伝える最後の機会が残されているというありがたさを自分に言い聞かせ、最後までやりきろうと思いました。
実は、そこから、自分の中の新たな発見が。
私は、最後の最後で自分の殻を破れた瞬間を感じることができたのです。
六大学対抗戦前日、その前の練習の雰囲気がどこか締まらないものだったこともあり、「何としても最後の練習だけはいい形で終わらせなければならない」という気持ちが強くありました。
この想いを自分で消化させてしまったら、後悔してしまうかもしれない。
そう思ったら、気が付いたら、チームとして徹底すべきプレイが出来ていないことに対して声が出ていました。
初めて、仲間に厳しく指導することができたのです。
練習後、チームとして勝つためにずっと破らなければならなかった殻を、引退直前にしてやっと破れたという実感がありました。
だだ同時に、正直、少し遅かったなとも思いました。
もしもっと早くその自分を出せていたら、リーグ戦の結果が変わっていたかもしれないなんてことを考えてしまうからです。
でも、勝負の世界の厳しさを改めて感じさせられた最後のリーグ戦を経験したからこそ気づけたことでもあり、この４年間で得た大きな学びのひとつだと確信しています。
また、私が先輩方から言っていただいていた「周りをもっと頼っていいんだよ」という言葉の意味も、この最終日の練習でようやく少しだけ理解できた気がします。
頑張りすぎている自覚もなかった私にとって、頼るという行為はずっと難しいものでしたが、その日の練習での経験をこれからの自分の成長の糧にできれば、それもまたこの一歩は価値あるものだと言えるのではないかなと思います。
そして迎えた現役最後の試合、明治戦。
一瞬で過ぎ去ったかのようなあっという間の40分間でしたが、自分がこれまで積み上げてきたことを自分なりに精一杯表現できた試合でした。
苦しい時でもリバウンドに入り続けること、最後まで諦めずに攻め続けること、バスケを愉しむ心でプレイすること…。
最後まで完璧なパフォーマンスだったかと言われればそうではないかもしれません。
ですが、その時に出せる最大限のことをコートに残せたと、自信を持って言うことができます。
こうやって最後までコートに立つことができ、やり切ったと思える試合ができたこと。
笑顔で引退することができたこと。
その裏には、感謝を伝えたい方々がいます。
私に信頼と期待を寄せ続けてくれたコーチ陣の方々、スカウティングに多くの時間を割いてくれた仲間たち、絶大な安心感で送り出してくれたトレーナーの方々、時折振り返る手紙や温かいお言葉で励ましてくれた先輩方、応援席から沢山のエールを送ってくださった皆様。
皆さんの存在こそが、私の一番の原動力でした。
試合に出させていただく事も多かった私にとって、「コートに立てることが当たり前じゃない、背中には沢山の想いを乗せているんだ」という気持ちに、皆さんの存在によって、何度も立ち返らせていただけました。
最後の試合を終えた瞬間、観客席からの温かい拍手を受け、私がどれだけの人に支えられていたのかを、ただ強く実感しました。
OB・OGの皆様
日頃より多大なるご支援、誠にありがとうございました。
慶應義塾体育会バスケ部という素晴らしい環境のもとでバスケットができたこと、バスケット人生を締めくくることができたことは幸せでした。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
私の土台を築いてくれた方々
この大学４年間の土台には、小・中・高での貴重な経験があります。
苦しい時こそ笑顔でプレイすることの大切さを教えてくれたミニバス、真の意味でチームに頼られる存在になるための努力を学んだ中学校、勝つことの厳しさを知った高校。
私を成長させてくださった指導者の方々、共に乗り越えてきた仲間、応援してくれて支えてくれた友人に、改めて感謝を伝えたいです。
皆さんのおかげで今の私があり、大学４年間を乗り越えることができました。
家族
一番そばで見守り続けてくれた両親、いつのまにかその背中を追いかけていた大好きなお姉ちゃん。
16年間、応援してくれて本当にありがとう。
最後に
ミニバスのコーチにプリキュアのおもちゃで釣られ、気が付いたら始まっていたバスケットボール人生。
しかし、そんな一歩から始まった16年間で得た経験や、かけがえのない出会いは、何にも代えがたい一生の宝物です。
あの時、純粋に（あるいは簡単に？笑）バスケを選んだ自分を、心から褒めたいと思います。
最後になりますが、この場をお借りして、私のバスケ人生に関わってくださったすべての方に、心より感謝申し上げます。
今後とも、慶應義塾体育会バスケ部の応援のほどよろしくお願いいたします。
