チームに必要とされるために -重増 志保

慶應義塾大学環境情報学部4年ならびに体育会女子バスケットボール部に所属しております、重増志保と申します。

この度は、卒業ブログということで何を書くべきなのか最後まで悩んでいたのですが、ようやく引退を実感しつつある今、感じていることを素直に書かせて頂きました。

拙い文章ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しく思います。

「あなたはチームのためになってない」大学2年生の夏合宿、監督にそう言われました。

「チームは良くなっているのに、あなたはそこにいない」

はっきり言って心外でした。

合宿を通してチームは団結し、一体感が強まっていきましたが、それに反比例して私は対人練習から外され、コートの外にいる時間が長くなっていました。

それでも、なんとかチームのために頑張ろうと必死だったからです。

その2ヶ月後、私たちは4部に降格しました。

当時の4年生が、「皆に3部を残してあげられなくてごめん」と頭を下げて私たちに謝りました。そして、4年生は声をあげて泣きました。

私も、悔しくて泣きました。

お世話になった大好きな4年生に恩返ししたいと思っていたのに、1番苦しい思いをさせて引退させてしまった。

この人たちのためなら何だってできる。そう思っていたのに何もできなかった。

こんなに悔しい思いは、もう二度としたくないと思いました。

2年生のリーグ戦は、私に大切なことを教えてくれました。

毎朝1番に朝練に行ったこと。オフの日の放課後、午前練習があった日の夜、試合の後、何度も一人で体育館に行ったこと。トレーニングコーチの授業に通ったこと。

たくさん自主練習をしていた私を認めてくれた同期や先輩もいましたが、それは実力不足の選手が当たり前のことをしていただけです。

朝練なんてしなくても実力のある選手の方が、よっぽどチームの役に立てます。

力になりたいと思っている人たちの、力になれます。

私は、疲れてなくても、痛いところがなくても、ベンチから応援し続けることしかできない。

1分でも休ませることもできない。背負ってるものを共有できない。

それは、自分が選手として無力だからだと思っていました。どれだけ頑張っても、練習しても何もできないんだと思いました。

でも、そのうちにベンチで仲間を支えられるような言葉すら出てこない自分に気づきました。

自分は、チームに存在する者として、無力でした。今この瞬間にチームのために必要なことを、試合に出ている人と同じぐらいできていなかったと気づきました。

ベンチにいる立場から一緒に戦うことができなかったのは、チームと同じ想いや覚悟を背負っていなかったからだと思いました。

コートで戦う人の苦しみがわからなかったからだと思いました。

だから、私はコートに立ってチームを支え、試合に出られない人を引っ張れるようになりたいと思いました。

3年生は、自分ではなくチームのために、ようやく気付いた当たり前のことをひたすら取り組み続けた1年でした。そして、自分のために頑張っていた2年間よりも、見えてくるものや得られるものが大きく変わり、プレーも少しずつ伸びていきました。そして、リーグ戦から試合に出してもらうようになりました。

大学4年間のほとんどの時間を一緒に過ごしてきた同期です。

4年目、最後の1年間については、何と言えばいいのか正直分かりません。

私が試合に出るようになった裏で、選手を諦めた同期がいました。

コートに入るのと入れ替わりに、怪我してコートに立てなくなった仲間がいました。

ベンチに入れてあげられない後輩が何人もいました。

その中で、コートに立つことが与えられた。

その重みを忘れたことは一瞬もありません。

だからこそ、チームの後輩、同期のために、果たさなければならなかったことがありました。

たくさん叱って下さったスタッフの方々に、見せたかったものがありました。

それでも、体現できなかったこと、返せなかったことが本当に沢山あります。

どんな言葉も言い訳にしか聞こえませんが、私自身が越えるべき壁を越えられなかったからだと思います。

それでも、こんな私を最後まで支えてくれたチームの皆に本当に感謝しています。

一緒に戦ってくれた後輩たち、最後まで見捨てずに信じ続けてくれて、託し続けてくれた同期、本当にありがとう。

チームのために多くの時間を費やし、常に最善を尽くして下さったスタッフの皆様、どんなに遠い会場にも駆けつけ、声をかけ続けて下さったOGOBの皆様、言葉で、背中で、沢山のことを教えて下さった先輩方、本当にありがとうございました。

こんなにも大切な仲間を得ることができたことが、4年間積み上げてきたことの全てだと思います。

頑張り続けることの意義を教えてくれる大切な大切なチームのみんなです。

チームにとって必要な存在になれなければ、コート上で必要な選手にはなれない。

コートに立っても、それができなければチームに必要な存在にはなれない。

だから、チームのため、仲間のために頑張ること、信頼を築くことは一番大切であること、それと同時に自分が成長するための努力は何があっても絶対に諦めてはいけないこと。

4年間を通して、学んだことです。

今後は、OGとして現役チームをサポートし、応援する立場からしっかり支えて参ります。

また、来シーズンも、体育会女子バスケットボール部を宜しくお願い致します。

長い文章でしたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。