ラストブログ 和田昂大

「4年前の自分へ」

はじめに

誠に僭越ながら自己紹介をさせて頂きます。慶應義塾大学総合政策学部を昨年度卒業し、本年度より社会人となります、和田昂大と申します。

11月に部活を引退してからは、抜け殻のような日々を送るかと思っていましたが、卒業論文に、バスケに、同期との遊びと、意外と忙しく、そして楽しい日々を送ってまいりました。

私は広報で活動しておりましたので、毎年自分が先輩方に発注していた卒業ブログを、自分が執筆しているのはとても不思議な感覚です。例年の先輩方のような素晴らしいブログにはならないと思いますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

体育会との出会い

実は私は、同期より遅いタイミングでバスケットボール部に入部しました。

私は一貫校である湘南藤沢中等部・高等部出身のため、体育会の存在自体は中学生の頃から認知していました。しかし、その頃の体育会のイメージは「バスケットボールがめちゃくちゃうまい、自分たちとは次元が違う大学生」でした。中学校の頃から体育会の早慶戦やその他試合は観戦に行く機会がありましたが、「みんなデカすぎ!うますぎ!かっこいい!」といった、ありえないくらい陳腐な感想しか出ないほど、当時の自分から見た体育会は、自分が知っているバスケットボールとはレベルが違っていたのです。私自身、中学校の頃から県大会はおろか、地区大会でも2回勝てるかどうかくらいでしたので、レベルの高い体育会など雲の上の存在で、私自身がそこに所属することなど微塵も考えていませんでした。

そのような考えのまま、中高を卒業し、私は大学に入学しました。バスケットボール自体は好きだった私は、学部にあったバスケットボールのサークルに入りました。学校に行って授業を受け、サークル活動に参加し、カラオケで遊び、朝方家に帰る。The 大学生っぽい生活はとても楽しかったですが、中高と自分なりに真剣に部活に取り組んでいた私にとっては、どこか物足りなさも感じていました。

そんな中、自分の運命を変える出来事が起こりました。2019年7月の第77回早慶バスケットボール定期戦です。バスケの早慶戦は毎年高校の部活で観戦していたし、キャンパスで知り合いになっていた、水谷と蛇谷が出るということで、早稲田アリーナに観戦しにいきました。会場に入ってすぐ、その異様な雰囲気に気づき、飲まれ、そして魅了されました。立ち見の人が出るほど満員の会場でしたが、その全員が、コート上のワンプレー、一つのボールの行方に夢中になっていました。紺色のTシャツを着た全員が、慶應の1得点に歓喜し、早稲田の1得点に落胆していました。試合は激戦の末、慶應が勝利を収め、会場にいた全員で若き血を合唱しました。あの時の会場の一体感は、今でも鮮明に覚えています。若き血を歌い終わった時には、大学生活に抱いていたもやもやは消え去り、バスケ部に自分の4年間を賭けることを自然と決めていました。そんな、人の心を動かしてしまうようなアツさが、あのワンゲームにはあったと思います。

(早慶戦で1年生ながら活躍していた蛇谷くんに見惚れて、入部してしまいました。)

4年越しの答え合わせ

例年の卒業ブログのセオリーでは、ここから4年間の振り返りや、4年間で感じた大切なことを書いていくことと思います。しかし私自身は、人様に胸を張って伝えられるほど立派な4年間を過ごしたわけでもありません。私たちの素晴らしい4年間の振り返りは、他の同期にお任せしたいと思います。

かわりにここでは4年前の私が抱いていた質問に、4年越しに答え合わせをしていきたいと思います。4年前早慶戦に魅せられ、体育会バスケットボール部に自分の大学生生活を賭けた大学1年生は、4年間の部活動を経て今何を感じているのでしょうか?部活に入ってよかったのか?後悔していないのか?自分なりに回答を考えてみました。

Q&A

Q.1 部活に入ってよかったですか?

A. よかったです!これだけは間違いありません。多分、次には「なんでですか?」って質問が来ると思うので、先に回答します。自分が部活に入って良かったと言い切れる理由は、さまざまありますが、大きな理由は3つです。

1つ目は、大好きなバスケをもっと大好きになれたからです。部活なので当たり前ですが、毎日バスケをします。毎日バスケを練習して、観て、勉強します。大好きなバスケを毎日プレーしたい!うまい人と一緒にやってみたい!バスケについてもっと理解したい!という方には、最高の環境があることを保証します。

2つ目は、いろんな人と向き合える機会があったからです。自分は大学に入ってまず初めに、世の中には本当にいろんな人がいるな、と感じました。中学・高校の同級生は基本的に同じような生い立ちを辿って生きてきた子が大半です。しかし、大学では地元も年齢も、もちろん今までの経験も全く異なった人たちに出逢います。普通の大学生活では、「なんかアイツ、合わないなぁ」で終わりだと思いますが、部活に入るとそうもいきません。同じ目標に向かい、毎日顔を合わせて過ごします。しかもこのバスケ部は、先輩方のブログにもあるように、特に個人やチームに向き合う時間を大切にしています。全く異なるバックグラウンドを抱えた人たちと、真摯に向き合い、打ち解け、仲間になる過程は、バスケ部でしかできない貴重な経験だと思います。

3つ目は、素晴らしい人たち、特に同期のみんなと出会えたからです。月並みな話かもしれませんが、やはり何にも代え難い素晴らしいメンバーに出会えたこと、そして通じ合えたことは自分の最大の財産になりました。

(バスケ漬けの4年間を共に過ごした、素晴らしいメンバーです)

Q.2 入部理由は「なんかカッコよかったから。」で、大丈夫でしたか?

A. 大丈夫です。もし、今年度慶應義塾大学に入学する学生で、このブログを読んでくれている子がいたら、声を大にして伝えたいです。入部する理由はなんでもOK!体育会かっこいいから、友達が欲しいから、毎日バスケがしたいから、就職活動にプラスになるから…入部する理由は人それぞれあると思います。入部してから、チームメイトと一緒に頑張れれば何も問題はありません。実際、私が4年間やって卒業しているので、補償します。ぜひ気軽に、体育会バスケットボール部の門を叩いてみてください。

Q.3 部活をやめようと思いましたか?結果的に4年間続けられたのはなぜですか?

A. 部活をやめようと思うことは度々ありました。特に4年生のシーズンはうまくいかないことだらけでネガティブになることもありました。しかし4年間、なんだかんだ辞めずにこれました!これは部活のことが好きだったから。その他に理由はありません。

少し脱線してしまいますが、私は部活を頑張る理由は、なんでも良いと思います。もちろん、早慶戦で優勝したいから、この部活で勝利を掴みたいから、毎日そんなすばらしい理由で頑張れれば、何も言うことはありません。しかし、私自身そうであったように、モチベーションは上下してしまいますし、選手であれば、個人の活躍もよりシビアに求められるので尚更だと思います。

部室でふざける時間が好きだから、練習終わり同期と食べるご飯が好きだから…部活の1日の中に、少しでも自分が好きな時間・楽しみな時間があれば、部活に所属し、頑張る理由には十分だと思います。そんな時間があったから、私は4年間、部活を続けることができました。部活を続けられるかどうか、それは部を、チームメイトを、同期を好きになれるかがポイントだと思います。私は部も、チームメイトも、同期も、大好きでした。

(ちなみに、私の好きな瞬間は「同期が試合で活躍している時」でした)

Q4. チームに所属する上で、大切なことはなんですか?

A. 大切なのは、自分がチームで価値を発揮すること。そして努力の方向がチームと同じ方向を向いていること。この2つだけだと思います。それさえズレていなければ本当に自由な部活だと思います。実際に、慶應を勝たせているのはチームメンバー1人ひとりの努力だと、本当に感じます。それぞれが自分の強みを活かし、日々チームを加速させています。

今までのブログで、「自分の存在価値について追求されるハードな部活」だと思っていた方、安心してください。自分の強みを理解し、チームのために発揮できれば、あなたはチームに欠かせないひとりになっているはずです。

Q.5 部活に入って後悔していることはなんですか?

A. 正直に言って、後悔していることはありません。ただ、あくまで客観的に大学生活を捉えると、他のことにチャレンジするチャンスは少なくなると思います。やはり部活なので、毎日練習時間がありますし、練習外の時間でもミーティングをしたり、バスケを観たり、バスケに使う時間は増えていきます。これは部活として、勝利を追求している以上、仕方ないことです。

周りの友人を見ると、留学に行ったり、起業していたり、資格試験の勉強をしていたり、はたまた朝まで呑んで遊んだり、と大学には本当に色々なことをしている人がいます。決して部活との両立が不可能とは言いませんが、大学生活でそういうチャレンジをしたいと考えている人にとっては、部活はハンディキャップになるかもしれません。

限りある自分の大学生ライフをどう使うかは個人の自由です。大学生のうちにしかできないことを見つけ、ぜひチャレンジしてみてください!その中に、バスケ部という選択肢もあったら嬉しいです❣️

いかがだったでしょうか?4年間、バスケットボール部で過ごして、感じた素直な回答です。長々と書きましたが、入部したことは最高の決断だった、ということだけ伝われば幸いです。4年前の自分、ナイスでした。

感謝

先ほどのQ&Aでは、一丁前に偉そうなことを言いましたが、自分が今、4年前の入部を後悔のない選択にすることができたのは、いうまでもなく周りの方々のおかげです。

自分は日頃から、あまり真面目な話をするタイプではありません。ましてや近しい関係の人に改めて感謝を伝えたことなどなかったので、この場をお借りして4年間の感謝を伝えさせていただきたいと思います。

先輩方へ

現役が被っている先輩方、自分達に最高の環境を用意してくださり、ありがとうございました。特にひとつ上の先輩方は常に自分達のことを気にかけていただきました。おかげで学年として大きく成長することができたと感じています。

また、スタッフの先輩方、皆様に教わったことが自分の大学生活の全てでした。特に野田さん(2020年卒)、直哉さん(2021年卒)には本当に多くのことを教えていただきました。ありがとうございます。また、尊敬してやまないSFCの高校からの大先輩、小祝さん(2020年卒)と杉田さん(2021年卒)は、たくさんの笑いの取り方を教えていただきました。ありがとうございます。今度焼肉に連れて行ってください。

後輩たちへ

もちろん、後輩のみんなにも感謝しています。自分達の学年とは対照的に、しっかりしている子が多く、みんながいたからこそ自分達の代は、チームとして成立していたと思います。一緒に闘ってくれてありがとう。特に縦割りの子たちは、とってもかわいいファミリーです。一緒に遊びたくなったら連絡してね!

同期へ

まずは最後まで一緒に過ごした4人、自分の4年間を彩ってくれてありがとう!普段、絶対に言わないけど、本当に感謝しています。練習の行き帰りにしていたくだらない会話、毎日の練習、ここに書けないくらい辛かったミーティング、オフにドライブしたこと。部活も学校もオフも、自分の4年間の思い出には、必ず同期の4人がいます。この4年間では家族より家族していた自信があります。試合をしても、やっぱり同期が活躍するのが何より嬉しかったし、成果が出ない時は何より悔しかった。自分が部活に夢中になれたのは、間違いなく4人のおかげです。本当にありがとう。

途中で別の道を進んだ同期たちも、自分にとってはずっと同期です。自分達にたくさんの気づきを与えてくれたことに感謝しています。みんな本当にありがとう!

親友のDくんへ

10年間、一緒に過ごしてきて、D君に感謝していることはたった一つだけです。それは10年前、中学1年生の自分をバスケ部に誘ってくれたこと。あの瞬間がなかったら、今の自分、学生生活、そして仲間はなかったと断言できます。自分にバスケットボールという宝物を与えてくれて、本当にありがとう。他に感謝していることはひとつもありません。これからもよろしく!

両親へ

まずは10年間、学生生活と、バスケットボールを続けさせてくれてありがとう。特に大学になってからは、早朝に送り出してもらったり、一人暮らしをさせてもらったりと、部活をするにあたり本当にたくさんサポートしてもらったと感じています。息子の出もしない試合にわざわざきてくれて、毎試合がむしゃらに応援してくれたこと、実は嬉しかったです。10年間、支えてくれてありがとう。

他にも、OBの方々、中高の友人、他の体育会部活の友人、応援部の方々など、数えきれない方々の手厚いサポートにより、自分たちの4年間は充実したものになったと感じています。心の底から、感謝を申し上げます。4年間、ありがとうございました。

さいごに

拙い文章でしたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

これからも体育会バスケットボール部で培った力で、自分の選択を「最高の選択」に、していけるよう、頑張ってみたいと思います。

最後に重ねてにはなりますが、4年間本当にありがとうございました。引き続き、体育会バスケットボール部の応援を、よろしくお願いいたします。

(これからもよろしく!)