AI ちゃん -頃末沙樹

慶應義塾大学理工学部4年ならびに体育会大学女子バスケットボール部の頃末沙樹と申します。どうぞ宜しくお願い致します。

「AIちゃん」。同期たちは私にそう愛称をつけてくれました。”あい”ちゃんではありません。”AI”は人工知能を指す”エーアイ”です。私は機械を想起させるような気質を持っているらしいのです。

同期に聞いた理由や自己分析から推測するに、感動ものの映画やドラマを見ても感情移入せず涙を流さなかったり、頼まれごとに対して必要だと判断すれば何も言わずに引き受けたりする部分が機械を想起させるのだと思います。

また、性格の部分だけでなく、会話の中での言葉の選択が固いときがあり、それもまた機械らしさを感じさせるのかもしれません。私自身、この愛称はしっくりくるところがあり、気に入っています。そんな私の個性からか、部内では冷静な人だと言われます。感情に任せて話すことがない人、客観的な意見を言う人、という存在なのだそうです。

一方で、もっとバスケ中は人が変わったように熱くなった方が良いと言われたことがあります。心は熱く、頭はクールに、と言う言葉がある通り頭をクールに保つことは良いことだと思います。しかし、普段感情の起伏が激しくない私は、心の熱さまでもクールにしようとしてしまう節があるようなのです。

これからももちろん技術的な成長も目指しますが、最後のリーグ戦を目前に控え時間がない中で成長していくには、バスケ中の心の熱さを良い形でプレーに反映していくことも大事なのではないか、と思っています。残り少ない日々の練習でこれを念頭に置いて取り組んでいきたいと思います。

さて、こんなAIちゃんが早慶戦のランキングではなんと、とても人間らしい称号を手に入れました。その名も、いいお母さんになりそうランキング1位です。早慶戦ではパンフレットに様々なランキングが掲載されます。その内容は毎年異なっており、早慶男女が各々のチーム内で投票を行って集計を行います。

いいお母さんになりそうランキングでランクインした主な理由を一言でまとめると、創造力です。バレンタインデーに作ったクッキーが好評で皆の印象に残り、票を集めたようです。食べ物を作る能力…たしかにこれはいいお母さんにつながる感じがします。クッキー以外に作ったものはスマホケースです。趣味で3Dプリンタを用いて物を作ったりすることがあり、自身のスマホケースを自作したのです。

スマホの大きさをノギスで計測し、モデリングして印刷します。これがいいお母さんにつながるのか疑問に感じるかもしれません。スマホケースはたくさん市販されており、自分で作る必要はないのではないか、気に入ったものを買ってくればいいのではないかと感じるかと思います。

この3Dプリンタでのモノを作る力が真価を発揮するのは市販されていないようなものを作るときです。例えば、作戦盤の角。コートでの動きについての話し合いをするときには作戦盤が用いられることが多々あるのですが、この作戦盤の角はプラスチックでできており、構造上少々割れやすいかと思います。

これは替えが単品では売っていません。そこで、3Dプリンタでのモノを作る力を発揮し、見事直しました。この能力がいいお母さんにつながるであろうことがお分かりいただけたかと思います。

また、AIちゃんは意外にも他校とのイベントが好きだったりします。慶関戦では、両校合同のレセプションがあり、学年別で食事に行く機会もあります。年に一度しか会ってはいませんが、このレセプションと食事会で関西大学と交流できるのが好きでした。また来年、と言って毎年別れていたのが、またいつか、となってしまうのが少し寂しかったです。

早慶戦では、多くの観客の集まる大きな舞台でスタートとしてコートに立たせてもらえたことが素直に嬉しかったです。中学高校で相手チームとして何度か対戦した現キャプテン梅木と共にスタートとしてコートに立ったこと、中学高校での同期がチアとして、そして観客として応援をしてくれたことはとても感慨深いものでした。

バスケを通じて知り合った仲間たちと様々な形でまた関わりあえるというのが面白くて、楽しくて、他校との交流を私が好む理由はこのようなところにあるのだろうなと思います。

また、夏合宿で練習試合をしている信州大学とも交流があり、一年越しの相手の成長を目の当たりにして良い刺激を受けたりもします。それもまた面白みの一つだと思います。

秋リーグでは最上級生としてチームを引っ張っていく四年生

今年の夏合宿では、それまでの試合で浮き彫りになったチーム力の向上という課題に挑みました。合宿内で行われた信州大学との練習試合では、今までなかなか拭うことが出来なかった、コート上とベンチに隔たりがあるような感覚がなくなり、チームの一体感を実感しました。

練習試合後の残りの合宿での練習は、今までより活気のあるものになり、秋のリーグ戦に向けてチームが出来てきたという感じでした。

自分自身の個性の良いところと直すべきところを見つめ直し、合宿での良い流れをしっかりと自分たちのものにして、怪我のないように気をつけながらリーグ戦に向かって良い練習を積み重ねて勝利を掴みにいきたいと思います。