入試合格・内部進学体験記 - 体験記分類: FIT入試
2022年 FIT入試:野見山洋実
野見山洋美
学部:法学部法律学科
出身校:聖心女子学院
<志望動機>
私は高校生の時、東京地方裁判所に足繫く通っていました(女子高校生で私ほど通い詰めた人はいないと思います)。言わずもがな、裁判を傍聴するという目的でしたが、それこそが私が慶應義塾大学の法学部法律学科を志望する動機となりました。 一傍聴人の私が、裁判傍聴を通してどれほど新しい学びや深い考えを得られたかをここで表現することは容易ではありません。そこには、高校生だった私の想像の範疇をはるかに越える「現実の社会」が広がっていました。同時に、「自分も社会の一員だ」という当然のことをまざまざと自覚させられ、その社会の中で自分は何ができるのかを考えるきっかけとなりました。そして、法曹三者が今よりも良い社会を作っていこうとする営みとしての裁判に、私は強く興味を持ちました。
慶應義塾大学の法学部法律学科では「初めに法ありき」ではなく、社会科学の一分野として「社会を良くするための法学」という視点から法を学べると知り、第一志望に決めました。また、全国から学生が集まる慶應では、同じ社会を異なった切り口で見る多様な考え、バックグラウンドを持った仲間や先生方に出会えることも、第一志望に決めた理由の一つです。
<受験勉強>
私はFIT入試と指定校推薦、2つの方式での受験を高校2年生の秋ごろに決めました。双方に言えることとして、高い学校の成績(評定)が求められるため、学校の授業、定期試験に全てを尽くしていました。登下校の電車ではもちろん、最寄駅から家までの徒歩の間もプリントに赤下敷きを重ねて、ぶつぶつつぶやきながら勉強していました。お陰で評定に関しては周りと差をつけることができ、それが精神的にも合格に大きくつながったと思います。
FIT入試対策としては、小論文の練習をするために高校2年生の秋から塾に通い始めました。しかし塾に通うことで学校の勉強がおろそかになるのは、私にとっては本末転倒だと考え、定期試験前は塾をセーブすることもありました。FIT入試の場合、一次選考として書類審査がありますが、上記したように志望動機もある程度固まっていた私は、それをどう切り取るか、どう表現するかに多くの時間を割きました。もし志望動機が曖昧で困っているという方がいれば、どんなにささいな事でも自分の経験を振り返ってみることをおすすめします。自分の経験に基づくものであれば、面接の緊張した場面でも自信を持って「語れる」と思います。FIT入試のために志望動機を形に表し、その上で合格をいただいたことは、大学での学びの良い発射台になったと実感しています。
<バスケ部について>
弱小校中の弱小校であった聖心女子学院から、慶應義塾大学體育會バスケットボール部に入部することは決して低いハードルではありませんでした。しかし、高校バスケでの不完全燃焼が体育会への道を開いてくれたと感じています。中学生のころから待ち続けてきた高3の晴れ舞台だったはずの引退試合はコロナの影響で直前に中止が決定、どうにも晴らせない無念が募りました。週に2回1時間半、合宿無し、学校行事や宗教行事の度に無くなる部活ではありましたが、素敵な顧問の先生方や熱いコーチに見守られながら、仲間と一つになって汗を流した時間は、大切な思い出としていつまでも輝き続けるでしょう。
そして大学に入学し、周りには「体育会入るか悩むな、、」などとこぼしていた私ですが、今振り返ってみると、慶應義塾大学への入学が決まったその瞬間から体育会でバスケがしたいという思いが芽生えていたように感じます。また、部活の見学では、慶應義塾體育會バスケットボール部の名に恥じない、むしろそれを越えるような熱量と誇りを持って活動される姿に感銘を受け、入部を決めました。
入部して約半年、技術面・精神面ともに上級生の背中を追うのに精一杯ですが、心優しく面白い同期と共に1回1回の練習で少しでも成長できるよう励んでいる次第です。4年後、成長している自分を想像するだけでわくわくがとまりません。
2021年度 FIT入試(B方式):新城ほのか
学部:法学部法律学科
出身校:横浜隼人高校
<志望理由>
私自身、南米にルーツがあることや幼い頃から様々な人種の中で育った影響で、国際的な事柄や日本と外国との関係に関心がありました。そのため、国際法・ラテンアメリカ法を深く専門的に学びたく、慶應義塾大学法学部への進学を決めました。さらに、生徒会活動などのフィールドワークによる課外活動をしていたので、そういった経験を存分に活かすことができるFIT入試で受験しました。
私の関心に合った学習プログラムが組める環境に期待し、社会的に注目されている法現象に関連した科目などの世界情勢に密接した法律が受講できることに心が引き付けられました。また、副専攻制度を利用して、法律だけでなく、客観的で多角的な視点から様々な立場の人を説得できる論理的な思考を養う場があるというのも魅力的でした。
「人間交際」「社中協力」の下、FIT入試によって、知的好奇心、個性溢れる学生との対話を通し、総合的な人間力を培うことができると考えています。あらゆる分野での社会問題に対して関心があり、異なる価値観を持つ仲間との議論は、知識を超えた経験になります。これらの学びを活かして、世界をフィールドとして活躍するスペシャリスト兼ジェネラリストへ成長を遂げられると期待できたので、法学部法律学科を志望しました。
<受験勉強>
私は高校1年時から一般入試を受験することは考えず、推薦入試での大学進学を志していました。そのため、推薦入試で重要視される平均評定向上を目指し、塾には通わず家や図書館を活用して勉強に励んでいました。
高校2年の1月頃、友人の誘いで推薦入試に特化した塾に通い始めました。そこでは、進路先の決定や推薦入試で必要となる提出資料の作成などを行いました。文章の書き方から情報収集の方法、様々な分野の情報を学び、それを文章・言葉で的確に表現することに注力していました。
先述した通り、南米と日本の関係に強い関心を持っていたので、南米地域の大使館や国際機構に取材を行いました。インターネットや本には掲載されていない情報や、専門的知識を持った方々と出会うことができました。このフィールドワークでの成果は、推薦入試の資料に活用でき、面接での自己アピールにも繫りました。加えて、文章力向上を目指して小論文コンテストや、詩や短歌等の「言葉」に関わるプログラムに片っ端から参加しました。その際も、徹底的な情報収集で自分が専門としていないジャンルの知識が身に付き、とても楽しかったことを覚えています。勉強の中での息抜きを見つけられたのも、大学合格につながったと考えています。
<バスケ部について>
姉の影響で小学5年時にバスケを始め、中学まで続けていました。高校入学と同時に留学に重点を置いたため、バスケ部には入部しませんでした。しかし、勉強には集中できたものの、バスケがない生活に物足りなさ、自分にとってバスケがいかに大切かを実感しました。留学を終え、2年生への進級に合わせてバスケ部に入部しました。そこで出会った同期は今でも連絡を取り合うような、かけがえのない同志です。
部活動は学生時代しか味わえない貴重な経験だと思っていたので、大学でもバスケ部の練習を見学させてもらいました。見学していて、先輩と後輩の繋がりや雰囲気に惹かれ、私も女子バスケ部の一員になりたいと強く思いました。さらに、慶應義塾體育會という場を通して、人間的成長をしたいと感じました。
2019年度 FIT入試:森谷日向子
学部:法学部政治学科
出身校:学習院女子高等科
<志望動機>
私は政治思想の視点から日本の民主主義のあり方を研究したいと考え、本塾の法学部政治学科を志望しました。もともと倫理学や哲学に興味があり得意科目でもあったため、そういった分野の本を読んでいたところ、政治思想のおもしろさに気づき、そこから政治学科を目指そうと決めました。特に、高校の時に出会ったフランスの政治思想家であるアレクシス・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』という本が非常に興味深く、トクヴィルが述べた、「民主主義が人々の社会への無関心を生み、結果的に専制へと繋がっていく」という理論が現代日本にも当てはまるのではないかという問いを立て、これを本塾への志望動機となる研究テーマとしました。
この研究をするためには、政治学はもちろん、国民形成に不可欠な法律、歴史、宗教などの様々な学問を学んでいく必要があると考えました。法学や政治学だけでなく、幅広い分野を学ぶことができる本塾の法学部政治学科は、まさに自分に合った環境だと感じました。
また、私の兄が慶應義塾中等部から現在まで塾員だったため、幼い頃から慶應という環境に馴染みがありました。そこで「社中協力」や「半学半教」の精神を目の当たりにし、「絶対に慶應生になってやる」という強い意志があったのも本塾を志望した大きな理由です。
<受験勉強>
私は一般受験を受けることは考えておらず、志望していた大学も慶應義塾大学のみでした。FIT入試の対策を始めたのは高校一年生の時です。FIT入試はA入試、B入試の二種類があり、B入試を受験するためには高校の評定平均が必要です。また、一般受験と違い自分をいかに魅力的にアピールできるかが重要になってくるため、部活と勉強の両立をアピールできる定期テストには力を入れていました。
また、AO入試に特化した塾に通い、慶應の小論文を解いたり、ディスカッションの練習をしたり、志望理由書や自己推薦書などの書類作成をしていました。塾以外の空いた時間では、部活を引退するまでは、政治思想に関する新書や論文を読んだり、英語や、高校一年から履修していたフランス語の検定試験のための勉強をしていました。部活を引退してからは、受験の直前期だったため、本格的に書類作成や二次対策に力を入れました。
先述した通りFIT入試は自分をアピールする場ですが、私は中高バスケ部での部長経験と運動会・球技会の運営委員での経験しか語れるポイントがなかったため、塾主催の香港でのプログラムに参加したり、論文コンテストに応募するなど、学校外での活動もしていました。
<バスケットボール部について>
私は中高6年間のバスケットボール部に所属していました。そこでこれからも付き合っていくことになるであろう大切な仲間と出会い、「チームで戦う」ことの難しさや楽しさを知ることができました。この6年が私にとってかけがえのないものであったため、大学でもバスケットボールを続けようと決めていました。
バスケットボールを続けたいという意志はあったものの、私が所属していた高校のバスケットボール部は決して強いチームとは言えなかったため、大学の部活についていけるかどうかとても心配していました。しかし、大学の練習を見学させて頂いた際、先輩方が真剣に部活に取り組んでいる姿を見て、ついていけるかどうかの問題よりも「私もここでバスケがしたい」という思いの方が強くなり、迷わず入部をしました。
たしかに、部活と学業を両立していると自分の時間がなくなってしまいます。しかし、慶應義塾體育會女子バスケットボール部は、自らの時間を割いてでもこの仲間とバスケがしたいと思える魅力的な部活です。また、ここで過ごす4年間が私の大きな強みになることを確信しています。
2019年度 法学部FIT推薦:松村美宇
学部:法学部政治学科
出身校:常総学院高等学校
<志望動機>
今から4年前、茨城県常総市の鬼怒川が氾濫しました。32名の死傷者を出した大水害です。常住人口は約1000人減少し、4年経った今でも未だ多くの人が他地域での避難生活を余儀なくされています。そして私もその災害の被災者です。自分の目で見た洪水の恐ろしさ、瓦礫撤去や炊き出しを手伝った際に感じた市民の絶望、様々な出来事の中で災害の恐ろしさを痛感しました。自然災害は事前に防ぐことができないため、私たちは常に受け身です。私はこの経験から、国民1人ひとりに自分自身で命を守ることを考えさせ、その上で市民と行政の連携を潤滑に行うことが災害大国と呼ばれるこの日本で重要な鍵を握っていると考えるようになりました。行政の立場で市民の意識改革も含め災害対策に取り組みたい。そのために、本塾法学部政治学科への進学を志望しました。国家や行政側の視点から見た研究ではなく、生活者側の視点で政治学を学べるという本塾の特徴にも惹かれました。今後待ち受けるどんな大災害にも負けない日本をつくるべく、しっかり法学部政治学科で4年間学んでいく所存です。本塾は全国から優秀な学生が集まるため、価値観やバックグラウンドが自分と全く違う人と出会うことができます。自分の可能性の幅を広げ、そして卒業後の多方面で活躍する友人たちとの交流も非常に刺激的な環境であると期待しています。
<受験勉強>
毎朝2時間バスに揺られて登校し、午後6時に授業が終わって夜まで部活。私の高校生活は少し変わっていたと思います。家でペンを持つことはほとんどありませんでした。高校から家が遠いという関係もあり、勉強するのは高校3年間ほぼ移動時間でした。英語の単語などはその中で毎日コツコツと覚え、基礎を固めて資格を取りました。FIT入試では直接英語の技能を問う試験がないため、英検やTOEIC等のスコアを提出します。また、出願資格に評定平均の規定があったため、学校内の試験も怠りませんでした。FIT入試を受けようと決意したのは高3の頃ですが、高校時代ずっと続けてきた移動時間内でのこまめな勉強が大きく役に立ったと確信しています。FIT入試には2つの論文問題があり、私は塾に通いながら過去問を徹底的に分析したり、論文を書くにあたって文章構造から根本的に見直しました。また、グラフを読み取る力やどんな問題にも対応できる知識が必要だったため、私は特に世界史と日本史に力を入れました。たくさん本を読んで知識を増やし、万が一、本番で憲法が出ても解答できるよう、日本国憲法もひと通り覚えました。面接は、もともと私が得意とする分野だったので、自分が慶應義塾への進学を強く希望する理由を明確にして臨みました。
<バスケットボール部について>
私は8歳からバスケットボールを続けていますが、高3で部活を引退した時はもうバスケはやらないと決めていました。当初は他の部活でマネージャーをしようと考えていたのですが、どうしてもバスケをしたいという気持ちから離れることができず、また高校時代の悔しさをこのまま不完全燃焼で終わらせるわけにはいかないと思い、意を決して練習を見学しに行きました。そこで、部員1人ひとりが真剣に練習に取り組む姿やチームの雰囲気の良さに胸を打たれました。私も絶対ここでバスケがしたい!見学当日、入部を即決しました。
体育会に所属するということは、大学生活の大半を部活に捧げるということです。私は、その覚悟を持って大好きなバスケットボールと真剣に向き合っていきます。もちろん、辛くて投げ出したくなることもあると思いますが、お互いを高め合いながら一丸となって勝利を目指す仲間や、そのような環境でバスケができることに感謝し、学生時代しかできないことを悔いのないよう思いっきり楽しんでいきたいです。
2010年度 FIT入試: 蛯名 涼
学部:法学部法律学科
出身校:京都洛南高等学校
<志望動機>
私は、現在に至るまで常に目標を掲げながら中学校・高校と学校生活を送ってきました。それは、小学校から始めたバスケットボールの技術を磨くことと、決してそれだけに力を入れるのではなく、今は具体的な将来像はないものの、将来のことを見据えて勉学にも励むということです。
6年間この目標を達成し続けることができたので、大学進学にあたり勉学ではもちろんのこと、バスケットボールでも近年輝かしい成績を修めている慶應義塾大学に進学したいと思いました。
<受験準備>
まず、私がFIT入試を受けようと思った一つ目の理由は、試験が早い時期から始まるので、12月までバスケットを続けようと思っていた私にとって受験のチャンスが増える上に、合格してしまえば入試のプレッシャーを受けずに最後の大会を迎えることができるからです。
二つ目の理由は、FIT入試は学力は大前提ですが、それ以上に「人間性を重視するもの」だったので、その点に利点を感じ受験することにしました。
というのも、FIT入試において重要視される人間性というのは、「高校時代に取得した資格」「部活動や課外活動などで得た成績」「行ったボランティア活動」などであり、私は、部活動である程度の成績を修め、TOEICなどの資格の取得にも力を入れていたからです。TOEICは、受験勉強が本格的に始まる前にある程度の点数を取得しておいたほうが良いと思ったので、TOEICを一つの受験と考え夏休み前に照準を合わせて勉強に取り組みました。
勉学と部活動を両立させるポイントとして私が意識していたことは、「授業の内容はある程度授業中に理解する」こと、そして「毎日一定の時間その日の復習」を行うことです。
受験の準備として行ったことは、ひたすらFIT入試の入試合格体験記を読みました。そうすることで入試の傾向、雰囲気を想像しました。しかし、それ以外に何か特別なことをしたかというと、思い当たることがありません。
私が実際FIT入試を受けて合格するのに必要だと思ったことは、「対応力」と「表現力」です。私が受けた試験の内容は三つあり、「60分の講義を受けた後それについて論述」すること、「ある議題について5~6人でディスカッション」すること、「最後に10分程度の面接」でした。
この三つの試験において大切なのは、まったく触れたことのない法学の知識を自分の中でどのように解釈するかという「対応力」、ディスカッションや面接でいかに相手に自分の意見や志望理由を伝えられるかという「表現力」だと私は感じました。
そこで、受験生の皆さんに準備しておいたほうが良いとアドバイスできることは、一般常識的な社会の事象はある程度知っていなければなりませんが、最重要なのは「対応力」と「表現力」を日常生活の中で身につけておくことだと思います。「対応力」「表現力」というのは、すなわち「どれほど知識と経験を蓄えているか」だと思います。つまり、日々の生活の中で経験したことを蓄え、それにどう対応すれば最善であったかを考えながら行動することが、それらの力を伸ばす最良の方法だと思います。
<バスケットボール部について>
慶應に入学する前に先輩方から「慶應は練習がきちっとしている」と聞きました。
当時の私には、その意味がただ練習に取り組む姿勢を表しているものとしか理解できませんでした。しかし、実際入学してみるとその意味がよくわかりました。慶應のバスケットは、第一にシステムを重要視して「チーム力で自分たちより能力の秀でている選手やチームに勝つことを目指しているチーム」でした。
「きちっとしている」のは、練習に取り組む姿勢はもちろんのこと、チームが一定の理解のもと協力し合ってシステムの精度を高め勝利に結びつけるという一体感のことを指していたのだと思います。かといって、練習はロボットのようにこなすのではなく、明るい雰囲気の中ポイントを押さえながら短時間で行います。
試合においても、いかに練習で反復して習慣づけてきたことを体現できるかを重要とします。一つひとつのプレーに責任を持って行動しなければならないという厳しい環境ですが、技術とそれ以上に人間性を鍛えるには最高の環境だと思います。